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第4話「シルバスタイン案」

研究データと設計図が会議で公開された。まずはシルバスタイン案だ。


ホログラフに映された映像には、従来設計をたずさわってきたものには馴染みのあるデザインだ。六六工廠が帝国宇宙海軍に納入していたエンデミオン級の縮小発展型といったところか。一体化された装甲と構造材、分割された収束型推進器に、変わりばえしないが、莫大な実績のある兵器で固めている。真新しさはないが、要求どおりに小型化して、性能を制限したのだろう。コスト的には、帝国宇宙海軍主力艦の数十分の一にまで圧縮されている。比べるのもおかしいレベルで、主力艦は戦闘能力を追求していたのだからあたりまえだが。


「デザインは見てのとおりなのですが、六六工廠が帝国宇宙海軍に納入してきたエンデミオン級の小型化したものです。設計もほぼ踏襲しています。しかしエンデミオン級に採用していた、多積層装甲を大きく削減し、代わりに障壁発生装置を強化しました。大量の資源を必要とする純粋物理装甲からエネルギー装甲へ置き換えています」

「それでは不測の事態、反応炉の出力が低下した場合の危険性が跳ね上がるのではないか?」

「はい、その通りです」


エルドリッヒはあっさり言いきった。


「しかし本案における調査活動では、運用に複数の艦を利用する分艦隊での運用が多いということを重視しました。本案におけるエネルギー障壁とは個艦完結型のシステムではなく、分艦隊規模での協調艦隊防護システムなのです」

「相互にエネルギーをやり取りすることで、エネルギー出力を結果的に高めるわけだな」


単純に、数倍のシールド硬度を発揮するだろう。だが、低コスト化を目的にしておいて、実際運用では複数艦での共同を大前提にするのは結果的にコスト増しではないのか。単艦でのコストを重視するあまり、総合的なコストを度外視しすぎている気がする。


エルドリッヒ案のデータでは、元のエンデミオン級と同じシールド硬度をもたせるためには一〇〇隻は必要だ。単純に、エンデミオン級と同じ防御力を発揮するために二倍のコストがかかる。航宙商品はシールド硬度だけが全てではないが。


「かなり攻撃性を維持する方向性をだしたんだな」

「はい。フルサイズのトランスフォーメンションガンを前提に設計しました。それと帝国宇宙海軍のドクトリンである、中小小型艦を機動兵器に置き換えるという前提そのものには納得できるものが多く、機動兵器を支援するための区画を広く確保しています」

「見ためよりも中身はスカスカなのか」

「余剰空間は様々な大型機材を交換できるようにしています。多岐にわたる活躍を、簡単な改修工事で発揮可能です」

「艦体を分割できるのか」

「内装を再配置した結果です。基本レイアウトは変わりません。機動兵器タイプ、輸送タイプ、高耐久タイプ。ほぼ同じ艦体で三タイプを切り替えられます」

「必要な機能か?」

「不確定な未来に対しては柔軟さこそが必要と考えました」


三つの輪切りにされたシルバスタイン案には、外見ではまったく変わらない三タイプが準備されている。簡単に能力を切り替えられる能力か。分割された三ユニットには、どれもそれぞれに自走能力を確保されている。三隻の合体戦艦みたいなものだ。


……装甲を重視しない、できなかった理由はこれか。


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