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第3話「廃案の血統」

テンプレートデータによる航宙商品の出荷は極初期においては順調だったが、すぐに飽和して値崩れをおこすことになった。宇宙中で同時に大量生産して普及させてしまったのだから当然だ。しかも、どの工廠もまったく同じものだから、少しでも値下げされるとそれを追いかけるしかない。純粋なテンプレートデータによる販売はさっさと切り上げた。


今日は、支工廠が設計した次期航宙商品の発表会だ。企画を考える会議だ。私には二案が提出された。シルバスタイン案とエイドリッヒ案だ。私の想像ではもう一つ、バルド案も提出されると睨んでいたのだが、バルド案は辞退して、他の二案に吸収されたようだ。


「二案だけか」


私は眉をひそめた。


「はい。やはり、民間と軍部の両方に売り込む商品を売り込むには時期尚早と判断しましたので」


バルドは弁明した。


「直近の情報収集の結果ですが、現段階ではやはり、民間と軍部の要求に差がありすぎたんです。民間はより長距離を低コストで航宙できる性能をとても大切にしています。これは高効率を最優先にする経済活動ならばあたりまえの要求なのですが、軍部は星系内での短距離防衛戦力を重要視しています。つまり、現地戦力での自力解決できる万能性です。つまりは大型艦ですね、移動要塞並みの能力を求めた、よりコンパクトな航宙商品です。宇宙海軍にとってはですが」


ふむ、と考え込む素振りを私は見せた。集金パーティで聞いた話と重なる。


「と、言うわけでして、俺の案は廃案ということにさせてもらいました。今は、ですが、時期尚早がすぎましたね」


バルドは肩をすくめ、自分のあやまちから生まれた案を潰し、その成果と実験データをシルバスタイン案とエルドリッヒ案の設計チームに提供したのだそうだ。……僅かでも、シルバスタイン案にもエルドリッヒ案にも、バルド案の血が入ったのだろう。それはどちらの案が使用されても、必ずバルド案の血が残るということだ。



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