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第11話「収穫艦の改装と新規建造発注」

工廠間での状況確認と報告の書類が膨大にあがってくる。嫌がらせでは?データペーパーを流しながら、中身を確認するが、流石に他工廠も嫌がらせや工作以前に自分のところの商品を新しくするのと、そのための情報収集で忙しいらしい。


あちこち飛び回って、販路拡大を目指している。六六工廠だって同じだ。


「六六工廠のサラザールです」

「ラオ武装教会のエルトマです」


エルトマは水棲種族で魚顔に頭足類の体の種族の人間だ。側には半魚人の秘書が並んでいる。秘書というよりも、護衛か。エグゾスーツに銃火器を手持ちしている。スプリントガン、小片を高速で打ち出す切り裂き銃だ。こちらもベルベルが完全武装で備えているので問題はない。


「ラオ側からの依頼だそうですが」


今回は、ラオから六六工廠に発注という形での仕事だ。武装教会なのだから、だいたい想像はつく。ついでに言えば、ラオ武装教会のメイン運営者である背後の、『母なるエルドラの水連合』との関係をもつのと同じだ。


このエルドラ連合だが、かなりの肉食文化圏だ。言葉を話す連中を食う。なんなら共食いもする。……グリンチ侵略共和国パクト王家からの推薦でご来客されたんだ。連中、肉の盟約があるのだ。侵食戦争での協定に含まれている。食欲を舐めてはいけない。グリンチ侵略共和国と母なるエルドラの水連合との間に発生した、侵食戦争では、銀河の一角が完全に消滅したのだ。


「はい」


エルトマがゆっくりとした口調で話し始めた。


「ラオから、とある艦の改装を依頼します」

「とある艦とは何ですか?」

「ハンブル級収穫艦です。これは、我らが収穫のさいに主力となるのですが、現在の環境ではいささか時代遅れとなっています」

「有機資源を回収するための母艦でしたね。それも生きたまま」

「はい。我々にはとても大切です。ですが、脆弱すぎるのです。装甲が、反物質兵器の直撃に対して破滅的な結果を残してしまいます」

「反物質兵器に対する備えの改修をしてほしい、というわけですね」

「そのとおりですが、そのとおりだけではありません。ハンブル級はどれも基礎設計だけでなく老齢艦ばかりなので、これを機に入れ替えると思います。その建造を、六六工廠にお願いします」


随分と大きな事業だ。ハンブル級の置き換えといえば、数千隻規模の新規受注だ。六六工廠なら単独で受け持てる。工廠はそもそも一個艦隊規模まで生産できるのだ。


統合案A1があったな。あれの基本スペックは、ハンブル級の後継にも使いやすいかもしれない。効率のよい推進に、大量の積載、反物質兵器の直撃に耐えられる防御システムだ。すぐに用意できて、安く、それでいて払ったキャッシュ以上の性能をもつ。お客様第一ならば、早くて安い比較的高性能というより満足できる基準で充分だろう。


「ハンブル級後継への、具体的な要求は纏めていますか?」

「もちろんです。それと、ハンブル級の基礎データと問題点もお渡しします」

「それは、お言葉ですが外部にだしても?」

「我々はそれだけ、ハンブル級後継に賭けているのです。現在のラオ武装教会では、非効率とされる収穫艦の全廃が議論されています。我々は収穫艦に利権をもつグループというわけですね」


収穫艦という艦種そのものの存亡のかかった計画になるというわけだ。まあいい。


ラオ武装教会の依頼、六六工廠は受けることにした。統合案A1の先行量産と現地での実行戦力としてのデータ集めをするためだ。最初の一〇〇〇隻が様々な現地での声を聞きながら調整して実戦に参加するのに、時間はかからなかった。

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