18 班長の努め
今朝のこと。
三軒隣の奥さんが血相を変え、我が家にかけこんできた。
そして声高に訴える。
「いつものカラスが、今朝もゴミ収集所に来てるんです。班長さん、なんとかしてください!」
そう、今日は生ゴミの収集日であった。
「では、すぐにでも」
私はさっそく現場に足を運んだ。
カラスのヤツが一羽いる。
このふとどきなカラス、どうやらこの近くに住んでいるようだ。
「こらっ!」
私は一喝してやった。
しかるにだ。
カラスは振り向きもせず、なおも防御ネットをはぐろうとしている。
なんというふてぶてしい態度だ。
私のことを完璧になめている。
「おい、やめんか!」
「なんだよ、いいじゃねえか」
羽をバタバタと打ち鳴らし、カラスのヤツがはげしく威嚇してくる。
けれど、私はいささかもひるまない。いかなるときも班長としての務めをまっとうするまでだ。
「みんなが迷惑してるんだぞ」
「迷惑だって? てめえらはいつだってそう言うけどな、そいつはただの偏見じゃねえか。オレがカラスってことだけでな」
「どういうことだ?」
「猫のヤツが話してたのさ。ここを通りがかっただけで、あんたにひどくどなられたってな」
「それは誤解だ。ヤツがルールを守らないんで、厳重に注意をしてやったまでだ」
「じゃあスズメにも、あんたはどなるのかい? どなりはしねえだろ」
「いや、ルールを守らないものは、私はだれにだって注意をしている」
そうなのだ。
いつだって、だれにだって、分けへだてなく平等に接している。それが班長として、当然あるべき姿なのだから。
「町内の者が、みんな気持ちよく暮らすには、ルールこそが大切なんだ。だからオマエにも、ルールをきちんと守ってほしいんだよ」
私はカラスに言いさとした。
「さっきから、ルール、ルールって言うけどな、今日はゴミ収集日じゃねえか」
「今日は火曜日で燃えるゴミの日。不燃物は明後日の木曜日だ」
「ふん! じゃあ、その日に出せばいいんだな」
カラスは捨てゼリフを残し、ゴミ収集所からすごすごと立ち去っていった。
空き缶の入った袋をかかえて……。




