表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

27/43

5、スキルを確認してみよう



 夏だというのに、草々をなびかせる風がつめたい朝。

 まだ日が昇りはじめて間もない時間に目が覚めた俺は、裏庭へ出るとそこで眠っていたジータに話しかける。


「ジータ、朝だぞ」

「うぬぬ、そうか、朝か……うぬぬ」


 ジータは鼻ちょうちんを割ると、のろりとその重たい体を起き上がらせた。


「ちょっと付き合って欲しい事があるんだ、いいか?」

「そうか、相分かった。お前の頼みなら可能な範囲で聞こう」

「ちょっと森まで行って欲しい」


 俺がそう頼むと、ジータは爪先で器用に俺を詰まんで背に乗せ、空へと羽ばたく。向かう先は俺が頼んだ通り森。


 少しして森に付いた後、少し開けた所にジータは降りた。


「それでこの森に何用だピヨちゃん。あのキノコならクユユが食用では無いと言っていただろう」

「いや、キノコはもういいよ。あと森に用がある訳でもないんだ」

「ならば、どういう事だ?」

「«スキル»だよ」

「すきる?」


 そうスキル。

 昨日、キノコの魔物と戦った際に『各スキルの段階が上がります』って声が聞こえたのだ。それを確認してみたくて、俺は森に連れてきてもらった。


 まずスキルを確認する。


【スキル】

«スキル奪取+»

«火炎放射Lv2»

«強靭な肉体»

«言語»【虫】【動物】

«文字理解»

«ドラゴンブレスLv2»【闇】

«放電Lv2»

«考えるヒヨコLv2»

«本能に抗うヒヨコLv2»

«抗えなかったヒヨコLv2»

«テイムLv2»

«ウォーターLv2»

«ファイアLv2»

«サンダーLv2»


«スキル総熟練度(24/2000)»


 やはり、各スキルの段階が上がったと聞いた通り、ほとんどのスキルに【Lv2】が追加されていた。


 Lv2……つまり強化されたのだろう。

 レベルが上がっていないスキルも中にはあるが、それは元々レベルが存在しないスキルだったのだろう。


 そして、«スキル総熟練»という項目が追加されている。これは以前、俺が持っているスキルを確認した時には無かった項目だ。


 いや、無かったというより見えなかったと考えるのが妥当だ。何かのスキルのレベルが上がって見えるようになったのだ。多分。


 考えるられるのは«考えるヒヨコ»というスキルだ。



«考えるヒヨコLv2»

効果:詳細な情報を確認できるスキル。

   このスキルの適用範囲は視認した対象のみに限る。



 やっぱりだ。

 前に確認したときは『考えたヒヨコ』とだけあったが、レベルが上がった事によって確認できるのはより詳細な情報となったんだ。


 便利だなこのスキル。

 俗に言う«鑑定»と同じ類のスキルだろう。


 いいぞいいぞ。

 

「ん? そういえば……」


 俺は一つ、気付いた事があった。

 

 この«考えたヒヨコ»の効果である『このスキルの適用範囲は視認した対象のみに限る』というのは、何も俺に限定するという意味ではないだろうか。


 試してみるか。


「ちょっとごめんなジータ、ジッとしててくれ」

「む? 容易い事だが……」


 そう言って俺はジータを見つめる。

 すると、俺の頭にジータの情報が浮かび上がってきた。



 名前:ジータ

 種族:赤竜の幼竜

 性別:オス

 年齢:21歳


【スキル】

«ドラゴンブレス»【火】

«ドラゴンブレス»【水】

«ドラゴンブレス»【土】

«猛る肉体»



 おお!?

 すごい、本当に見れたぞ。

 ジータの詳細な情報が。


 というかドラゴンブレスってスキルをやたら持ってるな。

 【火】【水】【土】か、属性で分かれるんだな、ドラゴンブレスって。


 それと21歳でまだ幼竜か。いったいドラゴンって何年生きるんだ?


 まあ、それはどうでもいいとして。


 続いて俺は«スキル奪取+»を確認する。

 このスキルだけは『Lv2』ではなく『+』とあった。

 どういうことなのだろうか。



«スキル奪取+»

効果:敵と判断した相手、かつ視認したスキルに限り奪う。

追加:奪ったスキルのみ、付与出来る。


 なるほど。+というのは追加効果が得られるということなのか。


 よっしゃよっしゃ。

 思ったとおり、スキル奪取も強化されてるな。


 視認したスキルを見境なく奪ってしまうという、コントロール出来ない凶悪なスキルだが、まあこれで良しだな。


 オケオケ。

 思わぬ収穫があったな。

 

「ジータ、お前から奪っちゃった«ドラゴンブレス»返すよ」


 これでジータから奪ってしまったドラゴンブレスを返す事が出来る。

 

 しかし、肝心のジータはというと、どこか浮かない表情をしていた。


「それは枝葉末節というものだ。その技は俺との決闘でピヨちゃんが手に入れた技。そこに善も悪もなく、奪うも返すもない」

「う~ん、そういうものなのか?」

「そういうものだ。あれはただ純粋な戦闘だった、過ぎた事に文句は言うまい」

「ジータがそういうなら、貰っとくよ」


 ジータに諭され、俺はこの«ドラゴンブレス»【闇】を貰った。実際、使ったのはジータとの戦闘だけなのだが、これはいいスキルだぞ。


「しかしピヨちゃん、お前は実に興味深いヒヨコだな」

「なんだ突然」


 ジータが探る様な目線を俺に送ってきた。


「他の者が扱う技をただ真似するではなく、奪うとは奇妙な技を使う。してその体は俺の攻撃を受けてもビクともしない程に牢固だ」

「それは俺も知らん。気付いたらこんな体でその技を使えたんだよ」

「己も知らぬと言うか、ククク、実に不思議な奴だ」


 ジータが向ける目には喜色が浮かんでいた。

 そして、その目はすぐに鋭いものと変わり、視線を隣の茂みにへと移した。


「ジータ? どうしたんだ?」

「どうやらここは蝿の巣の様だな。いや……それとも俺達にあえて集る蝿と言ったところか」


 コイツの言っている意味が分からなかったが、何者かが俺達を狙ってるって事はすぐに分かった。


 ジータが向けた視線の先にある茂み、そこから3人の男が姿を現したからだ。服装は小汚く、俺達に向ける表情も小汚い。見るに明らかチンピラの類だ。


「ほほほぉ~う。こんな人気の無い所にわざわざ来てくれるとは」

「今、巷で有名なヒヨコ様とドラゴン様だ、うへへ」

「あのガキには悪いが俺達が貰うとするか」


 なにやら男達は値踏みするような視線を飛ばしてくる。

 俺は巷で有名と言われて少し照れてしまったが、ジータは敵意の篭った表情をしていた。


「どうやら使役獣の強奪専門の盗賊のようだな」

「ん? なんだそれ?」

「人の大切な家族を奪って金にする人間のクズだ。俺達はどうやら、こいつらの標的にされてしまったらしい」


 なるほどなるほど。

 そうか、こういった世界観だとそういう奴らも居るのか。

 まるでロケ○ト団だな。


 ただ、俺としては丁度良い獲物が向こうから来てくれたという事になる。


 わざわざこの森に来たのは、レベルが上がった技の試し撃ちがしたかったからだ。ここなら誰にも迷惑は掛けないし。


 キノコの魔物相手に試し撃ちしてみたいと思ったが、いかんせんキノコの姿が見当たらない。なら、こいつらだ。


「お~いおい、なんだあのヒヨコとドラゴン。会話してるみてーに鳴いてるぞ?」

「にょほほ、知能も高いとかさぞかし高額で売れそうだな」

「うるせぇぞお前ら、さっさとテイムして金にしちまおう」


 言うが早いか。

 男達の手が青白い光が纏った。


「幼竜とはいえ、ドラゴンを前に全く臆する様子は無いな。気を付けろピヨちゃん、やつらは相当なテイムを使用してくるぞ」

「じゃあ、ジータは俺の影に隠れてくれ」

「ピヨちゃんは自分のサイズを気にして欲しい」

 

 流石のジータもテイムされては抵抗できない。

 だが俺に対しては無効だ。


 ジータが後方へバックステップ。

 俺は意気揚々とチンピラに向かって走り出した。


「うーはは! あのヒヨコ、自分からテイムされに来たぞ! 鳥頭め!」


 そんな事を言いながらチンピラ達が俺に向かってテイムを放つ。青白い光が俺に向かって一直線だ。


 というか、いくら無効でもわざわざ食らう必要はないな。

 サッと避ける。


『ピヨッ!』

「何だ、避けたぞあのヒヨコ!?」

「凄いみのこなしだ」


 テイムを避けられ驚くチンピラ。 

 再びテイムを放とうとするも、チンピラたちはテイムが使えなくなったようだ。


「テイム! あれ? テイム!」

「お、おい、テイムが使えねぇ!?」


 それもその筈。


『スキルを取得しました』

『取得スキル:«テイム»』


 一回でも見てしまえばお前らの技は俺の物。

 ただ、チンピラ3人分のテイムを奪っても、俺は既にテイムを持ってるから別にいらないのだが。


 まず、試すは«ドラゴンブレスLv2»【闇】

 これをまずやってみよう。


『ピヨォォォォオボロロロッロロ!?』

「うわっ! なんだ!?」


 うっげ!?

 苦ッ!? にっが!

 ドラゴンブレスにっが!

 

 一度使った時は舌に染みるくらい苦かったが、

 今回は苦さもレベルアップしてやがる!


 おえええええええ!


「うぎゃああああああああああああ!?」


 俺が吐いたドラゴンブレスはチンピラの一人に向かって一直線。悲鳴を上げながらドラゴンブレスに飲み込まれた。


 殺さないように多少は手加減したお陰か知らないが、チンピラの衣服はドロドロに溶けてしまい、真裸になってしまった。あえなく気絶。

 

 ドラゴンブレス【闇】はどうやら、レベルアップすると溶解度が上昇するようだ。


「なんだあのヒヨコ!?」

「噂に聞いたよりも強いぞ!」


 ようやく危険を察知したのか、チンピラ達は腰に挿していた鞘から短剣を引き抜いた。


 その切っ先は俺へと向けられる。


 面白い。

 俺の体が剣にも通用するか試してやる。


『ピヨオオオオオオオオオオ!』

「食らえこのクソヒヨコ!」


 ガキン。

 鈍い金属音が森の一角に響いて消えていった。


「って効かねぇ!?」


 俺に振るった短剣は根元からバッキリ折れてしまった。

 残った柄を見てチンピラが青ざめる。


 そこに隙を見た俺はすかさず«サンダー»をぶち込む。


『ピヨッ!』

「あべべべべべべべべべべべ!?」


 俺の口からなんと電気が放たれた。

 黄色い閃光が瞬き、一瞬にしてこんがりチンピラの出来上がりだ。


 残るチンピラはあと一匹。


 俺が視線を送ると、ギクリと体を竦ませてチンピラは猛ダッシュ。全力疾走で逃げ出した。


「く、くそ! 逃げるしかねぇじゃんよぉ!」


 追う。


「うわ、はっや!? どんな脚力だあのヒヨコ!」

 

 背後からててててーと追ってきた俺を見てチンピラは目を(みは)る。


 無理も無い、人間より足が速いヒヨコなんて俺も聞いた事がないしね。ましてや仲間二人を葬った(葬ってない)ヒヨコが猛スピードで迫り来るんだ、下手なチーターに追われるより怖かろう。


 そしてこのヒヨコは火を噴くのだ!


『ピヨヨ!(ファイア!)』

「ぎゃあああああああああああああ!」


 続いてスキル«ファイアLv2»を使ってみる。

 すると、例の如く俺の口から火の玉が噴射された。


 火弾がチンピラを飲み込み、こんがりチンピラ(二人目)が出来上がった。

 

 «ファイアLv2»はどうやら«火炎放射»より弱めのスキルらしい。手加減する際にはもってこいのスキルだな。


 これでチンピラは全滅だ。

 後ろで見学していたジータがこちらに近づいてくる。


「どうやら俺の出番は無かったようだな」

「たかがチンピラだし、竜が出るまでもないだろう」


 よしよし。

 でもこれで大方スキルの検証は出来た。

 おまけに生半可な刃物では俺には効かないという事も分かったし。結構いい成果を出せただろう。


「そろそろ帰るとしようかピヨちゃん。クユユが心配してしまう」

「それもそうだな」


 ジータに言われ、俺は帰って寝る事にした。

 残りは後で検証してみるとしよう。


 



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ