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白の転生譚  作者: 優音 乙菜
第一章 教会
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豊穣の加護 6

 途中で畑が足りなくなって追加で畑を耕したり、その畑が繁茂した植物の蔓に飲まれたり。予期せぬトラブルはありましたが、そんなこんなで、種袋に入っていた種を植えて水を撒き終わる頃には、日が傾き始めていました。


 畑には野菜や野草に薬草が繁茂し、所々には果樹や樹木等の木々が枝葉を伸ばして、果実や木の実をたわわに結実させていました。

 樹木は伐採しても使い道が無いのでそのまま放置で、その他諸々は持ち帰っても良いと言う事で、日が落ちきる前にその他諸々を収穫してい『貯蔵庫』へ放り込んでいきます。


 とは言え、果実を付ける果樹や木の実を付ける樹木は背が高く、僕では一番低い枝にも手が届かない有様なので、樹の真下に『貯蔵庫』の口を開いおいて、後は樹に登った御餅精霊の子達に果実を落として貰い、その間に僕は果樹や木の実以外を収穫していきます。


 キャベツやレタスにホウレン草を初めとした葉菜類に、ジャガイモやニンジンに大根(自走しない)を初めとする根菜類。それから、苺やカボチャにトマトを初めとする果菜類に、胡椒やニンニクに生姜等々の香辛料や香味野菜。後は、豆類に穀類に草花や薬草その他諸々。プラス精霊の領域をフリーダムに歩き回るマンドラゴラ類。

 珍しい物なら、紅葉キャベツという赤と黄色のグラデーションのキャベツ。宵闇のカボチャという真っ黒なカボチャや、星型ニンジンと言う名前の通り星型のニンジン。暗い場所で網目が青白く光り、その網目が星座を描く夜空のメロン等々。


 最後に挙げた夜空のメロンはウリ科の植物が変化した事によって誕生した新種です。休憩とおやつを兼ねて食味調査してみたところ、夜空のメロンは味や芳香は元の世界のお高いアミアミメロンより濃く強く、果肉はグリーンかオレンジの2色。どちらの色かは切ってみるまで分かりません。


 夜空のメロン以外にも、風に吹かれると鈴の鳴る音がする『鈴の音草スズノネソウ』や、電気を帯びて触るとビリッっとする茨『ボルティックローズ』等々。新たに誕生した新種や珍しい物は、一部を除いて精霊の領域や、お姉さんが持ち帰って『庭園』と言う場所で一から育ててみるとの事。


 元々加護ありきの植物なので、増えたりそのまま形質が固定されて新種として定着するかは分からないそうですが。


「ん゛~……腰が」


 畑の3分の2程を覆っていた蔓の中で、薄っすら光っていた夜空のメロンの最後の1つを収穫し、立ち上がってぐーっと伸びをします。


 加護の力を受けて変化した植物は、同じく加護の力を受けて成長しただけの普通の植物よりも殊更元気で、大抵の場合他の追随を許さない勢いで繁茂し実りも多くなります。

 それが、楽な体勢で収穫出来る物なら問題ないのですが、こんな風に地面に繁茂する植物だと、腰を曲げたり膝を付いたりして作業しないといけないので少し大変です。


「ふふっ、大丈夫ですか? 中腰で作業していると腰にきますよね」


 伸びをして、ほへぇーと一息吐くと、隣の畑で茶葉を収穫していたお姉さんが、此方を向いて少し心配そうに、でもどこか楽げに笑いながら言います。


「ちょっと疲れたけど平気だよ~。あと、こっちの畑は大体収穫終ったみたい」


 視界の端では果実の収穫作業を終えた御餅精霊の子達が、順次マンドラゴラを追いかける遊びに移行し始めていました。

 とは言っても、健脚の持ち主たるマンドラゴラが捕まる様子は微塵もありませんけど。


 と言うか、何気に最初に川に向かった大根が戻って来て、果樹の根元で涅槃状態になって「ほら、捕まえてみろよ。出来るもんならな!」とでも言いたげに、手(根っこですけど)をクイックイッっと動かしていたり、準備体操とかしながら「お前等如きに俺が捕まえられるか?」とでも言いたげにスタンバイしている固体が居たり。


 きっと、涅槃状態の大根辺りを持ち帰ったらリディアが大喜びするんだろうな。……捕まえようとすると、凄い勢いで逃げるから無理ですけど。

 そんな事を考えながらボンヤリと辺りを眺めていると、お姉さんが相変わらずのニコニコ顔で、休憩の時に使った木陰を指します。


「此方もあと少しで終りますので、先に休んでいて下さい。あそこなら、休憩の時に使ったシーツがそのままになっていますから」


 まだ終ってないのに僕だけ良いのかなぁ。何て少し思い悩んで居ると、御餅精霊の子達が「すぐ終るから休んでて~」何て言いながら、自己主張する様に飛び跳ねます。


「うーん……じゃあ、そうさせて貰うね」


 少し考えた後、何となーく体が重い気もするのでお言葉に甘える事にして、木の根元に腰掛けます。そして、ふぅと一息吐くと、途端に力が抜けて少しずつ目蓋が重くなっいきました。

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