トレーニングの前夜にしたこと
「トレーニングは明日からでいいわよ」
そう言って叶は去っていった。
その後ろ姿がカッコ良かったのは秘密ですよ?
さて、感情の嵐が叶とともに去っていったので、なんだか妙に冷静です。
あの厳しすぎるトレーニングは叶の優しさだと思います。
だって、なんだかんだで私は失恋しているわけじゃないですか。
叶の放った「恋人として見られてない」という言葉は遅効性の毒のように私の心を蝕んでいく。
叶は本当に優しい。
自分が嫌われるかもしれない言葉を私のために平気で言っちゃうんだから。
だから、叶のために私は今日だけ泣いて、明日からは考える暇もないほどハードなトレーニングをする。
「ふふっ、本当に馬鹿だなぁ…ふっ、ふぇっ、ひっく、うぇっ、わぁぁぁん!!」
本当に馬鹿。
こんなに泣けちゃうほど好きなのに何度も浮気されて何も言わないとか、
その相手がいつも同じ女の子だって気付いてて彼に本当に愛されているのはその子の方なんじゃないかって、
分かってたんだ、だってデートの回数より浮気を目撃した回数の方が多いし、
キスだって片手で足りちゃうくらいしかしてない、
分かってた。
でも何も言わなかったのは、言ったら彼にふられると、言ったら終わると知っていたから
だから自分の気持ちを嘘で包んで、それをさも大事そうに抱えていたんだ。
側にいられるだけでいい。
それだけで私は幸せだから、そうやってなるべく傷つかないようにしてた。
でも叶が、それじゃ駄目だって教えてくれたから、私の心ももう無理だって叫んでたから
「もう逃げない!」
大丈夫、きっと…
コメディー目指してたはずなのに…
どおしてこうなった…
麗佳最初に感情の嵐が叶とともに去っていったって言ってるけど全然去っていってないよ。
感情の雨霰。




