コイツが手配書だ
初カキコ…ども…
「――さて、強盗諸君、それとジェイムズ兄弟。見ていたと思うが、俺は銃を突きつけられたからコイツを射殺した。これは正当防衛だ。そうだろ?」
ジェイムズ兄弟のテーブルを見下ろし、銃口を向ける。
「昼間に俺らの仲間を殺したのはお前か?」
ジェイムズ兄弟の弟、ジェイムズ・フォードの手には拳銃が握られている。
「あぁ。公務を妨害されたのでね、俺がやむなく殺した。これは公務を執行するためにやったことだ」
ジェイムズ・フォードはこちらを睨みつけて微動だにしない
「お、お前ら!何なんだ!?突然発砲しやがって!」
酒場の店主はライフルを構えてカウンターで立ちすくんでいる。
「申し訳ない、俺は保安官補佐のロバート・サムターだ。今はジェイムズ兄弟を逮捕するべく、足取りを捜査していたところだ。コイツが手配書だ」
ポケットからジェイムズ兄弟の手配書を取り出し、店主に突きつける。もちろん、ジェイムズ兄弟に銃口を向けたままだ。
手配書を見るなり店主はライフルの震える銃身をジェイムズ兄弟のほうに向けた。状況を理解したらしい。
「俺らを追ってやがったのか」
ジェイムズ兄弟の兄、ジェイムズ・エドが銃口をこちらに向けてきた。同様に強盗団のメンバーもこちらに銃を構えた。それを見るなり店主は「ヒィッ」と情けない声を上げてその場にへたり込んでしまった。
「お前ら、昼間の列車強盗か!?」
状況をいまだに理解できずにいる砲兵隊は困惑の表情を浮かべつつも、曲がりなりにも彼らは元軍人。テーブルを倒して即席の盾を用意し、拳銃を構えている。
「そうだ!よくも俺らの仲間を吹き飛ばしやがったな!」
強盗は血相を猛らせ、砲兵隊に銃口を向ける。その手は仲間を殺された怒りと追いつめられた恐怖で震えている。
――パァン!!!
銃声が張り詰めた緊張を切り裂いた。サムターの後ろ――カウンターから白煙と硝煙の匂いが漂ってくる。何者かが天井に発砲したらしい
「テメェら動くな!」
先ほどまでその場にへたり込んでいた店主が拳銃を突きつけられている……強盗ではなく砲兵隊によって。
「……は?」
サムターや強盗たちの困惑など知ったこっちゃないとばかりに砲兵隊は店主に銃口を突きつける。
「強盗ども!仲間を殺されたくなければ、おとなしく武器を捨てやがれ!」
「えぇと……その人は関係ない市民で……」
「shut up!!!」
サムターが店主を助けようとするも、聞く耳を持たない砲兵隊は再び天井に向けて発砲した。
(こいつら……完全に酔っぱらってやがる)
砲兵隊の4人は全員、顔が真っ赤になるほど酔っぱらってまともな判断ができていない。砲兵隊の間ではなぜか意思疎通が取れているが……
「なんて奴らだ……」
先ほどまで荒々しく叫んでいたはずのジェイムズ兄弟や強盗も、あまりの意味不明な状況にドン引きして勢いを削がれている。
「おいテメェら!武器を捨てろ!」
サムター自身も状況は呑み込めていないが、強盗どもを制圧するチャンスなので砲兵隊と共に威嚇する。
「あぁ?……コイツ仲間だったっけ?」
「味方だよ!サムターだ!同じ任務をしていただろ!」
どうやら砲兵隊は俺のことも敵だと思っていたらしい……まずは後ろの脅威(砲兵隊)を排除するところから始める。
「あぁ!サムターか!昼間は世話になったな!」
なんとか後ろの脅威は排除できた。次は……
「お前ら!銃を捨てておとなしく投稿しろ!」
改めてジェイムズ兄弟に銃口を向ける。砲兵隊が加わったことで俺らは5人、対して相手はひとり射殺したので4人。人数有利だ。
「クソッ!兄貴、どうする?」
弟のジェイムズ・フォードは額に脂汗を浮かべながら、兄であるジェイムズ・エドの方を見る。
「どうって、ずらかるしかねぇだろ!」
エドは仲間であったはずの強盗の一人の頭を撃ち抜き、そいつを盾代わりにしてこちらに向けてきた。弟のフォードも兄の考えを理解したらしく、もう一人の強盗を殺して兄と同じようにする。
――さすが兄弟、というべき以心伝心っぷりだ。やっていることは褒められたことじゃないが。
「行くぞ!フォード!」
「あぁ!兄貴!」
ジェイムズ兄弟は強盗の死体を盾のように構え、素早く酒場から逃走した。
サムターと砲兵隊は兄弟に向けて発砲したものの、すべて強盗の死体によって防がれてしまった。
酒場に残されたのはサムターが射殺した強盗、砲兵隊に囲まれてガクガク震えている酒場の店主、硝煙の匂いくらいだった。
***
「クソッ!逃げられたッ!」
――数分後、酒場から逃げたジェイムズ兄弟を追っていたサムターの視線の先にあるのは穴だらけになった強盗の亡骸。そこにジェイムズ兄弟の姿は無かった。
「サムター!こっちは逃げられた!」
サムターとは別れて追跡していた砲兵隊が駆けてきた。あちらも逃げられたらしい。サムター含めて全員が肩で息をし、硝煙の匂いを町中にまき散らしているが、成果と言えるのは盾代わりにされ、打ち捨てられた強盗の死体の発見ぐらいのものだった。
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色がついた星の数だけ、幸運が訪れると思います。知らんけど。




