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In the luce  作者: RRR
二年生編
47/57

episode20

午後の陽射しが強く降り注ぐ中、蘭はいつも通り、静かな気持ちでダンス教室の階段を上っていた。

(梨々香も生徒会長になって頑張っている、私ももっと頑張らなくっちゃ)




スタジオのガラス越しに映る自分の姿に一瞬だけ目をやり、そのまま扉を開けた。





けれど、その日はどこか空気が違っていた。

スタジオの中には誰もおらず、鏡の前にはマネージャーだけが立っていた。


「一条さん、ちょっと話があるの」


その一言に、蘭の胸の奥が小さく揺れた。

嫌な予感は、いつだって当たる。


「あなた、同じ高校の女の子、えーと織谷梨々香さん?と……付き合ってるわね」


その名を出された瞬間、蘭の中で時間が止まった。




「……誰が」




「言った人のことはいいの。問題は、あなたが契約の内容を破っていること」


マネージャーの声は淡々としていた。冷たくも優しくもない。

ただ事務的に、決まりを伝えるような調子だった。


「たとえ同性でも、交際は“恋人関係”として禁止されている。もし続けるなら、こちらとしては……」


「辞めるか、別れるか」


蘭は思わず拳を握りしめた。


「……それって、本当に……そんなにいけないことですか?」


「気持ちは分かるけど、私情は別。あなたのためでもあるの」


返す言葉が見つからなかった。

胸の奥にある梨々香の笑顔が、遠くに滲んでいく。


マネージャーは小さくため息をつき、「少し時間をあげるから」とだけ言い残して、部屋を出て行った。


蘭は一人、鏡の前に立ち尽くす。

張り詰めていた気持ちが、音もなく崩れそうになる。


――そのときだった。


「……先輩?」


スタジオの入り口に、制服姿の少女が立っていた。


松浦あかり。

梨々香以外で、蘭と梨々香の関係を知るもう一人の人物。


「あれ……どうしたんですか、そんな顔して。もしかして、怒られちゃいました?」




あかりはにこりと笑った。その笑顔が、どこか薄暗い影を落とすように見えた。





蘭は一瞬、返す言葉を見失う。

静かなスタジオに、蝉の声が遠くから届いていた。

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