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In the luce  作者: RRR
二年生編
44/57

episode17



ダンス事務所のロビーは無機質な白に包まれていた。

スカウトマンの女性が現れると蘭は小さく頭を下げた。


「来てくれて嬉しいわ、一条さん。あの時の踊りを今でも忘れられない。」


スカウトマンの眼差しは真剣で書類を差し出してきた。


「これが契約書です。


もちろん、今は練習生の段階だけどうちのスタジオで君を育てたいと思っている。」


蘭は書類に目を通す。

項目は細かく、レッスンの頻度や出演機会のこと、生活リズムの管理まで――

そして、その中に見つけた一文で、蘭の指先が止まった。


『練習生期間中は、恋愛を含む交際は禁止とする。』


「……この部分、どうしても必要ですか?」


「ええ、うちの方針なの。恋愛って心を乱すから。特に練習期間は」


スカウトマンの声に責める色はなかった。

それでも、胸の奥がきゅうっと締めつけられた。


(バレなきゃ、いい。梨々香には、何も言わなければ……)


葛藤の末、蘭はゆっくりとペンを握り名前を書き込んだ。


「……サイン、しました。」


「ありがとう。これからよろしくね一条さん。」






――次の日の夕方。星羅学園では、すでに“誰から広まったのかある噂”が生徒たちの口に上っていた。


「ねえ知ってる? 一条さん、芸能事務所に入ったんだって! ダンサーとして!」





「しかも、大手の“LiBERO”ってとこらしいよ?」





「あそこ恋愛禁止だよね? てことは一条先輩彼氏いないんだ!」





教室の隅で、その声を偶然耳にした梨々香は手にしていたペンを落とした。


「……うそ」


誰よりも蘭の夢を近くで応援したかった。

一番に自分に話してくれると思っていた――

なのに梨々香が“蘭の夢”を知ったのは本人の口からではなく冷たい噂話だった。


心のどこかが、静かに、軋む音を立てた。






麗が声をかける。


「行くんでしょ、蘭のところ」


「うん……ありがとう」



梨々香は鞄を持って教室を出る

本当なら蘭の喜ばしい報告なのに心のどこかで噂が嘘であることを願って

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