表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
In the luce  作者: RRR
二年生編
33/57

episode6

麗side

「蘭!」


蘭が梨々香以外の少女とご飯を食べている姿を見て思わず声を張っていた。

蘭が顔を上げる。

あかりが気まずそうに手を止めた。


「少し、話せる?」


感情を抑えきれず少しきつめの声になってしまったのが分かる。

それでも止められなかった。

梨々香をこのまま蘭に任せておけないと心のどこかで思ってしまっていた。




──それが、ただの嫉妬だったとしても。



屋上に続く階段の途中で、麗は蘭を呼び止める。

昼休み、再びあかりとお弁当を食べていた蘭。

その姿に、どうしても我慢できなかった。


「ねぇ、蘭。……最近、梨々香とちゃんと話してる?」


問いかけに蘭は少し面食らったように目を瞬かせる。

そしてすぐに眉を寄せ低く返す。


「何が言いたいの、麗」


「梨々香、最近ずっと元気ない。だから蘭とまともに喋れてないんじゃないかと思って。

……梨々香は蘭のことすごく好きなのに」


その一言に、蘭の肩がぴくりと揺れる。

でも、すぐにその揺れを打ち消すように口を開いた。


「……じゃあ、どうすればよかったの。

梨々香はいつも部活や誰かに呼ばれて私と一緒にいる時間なんてほとんどない。寂しいのは私だって同じだよ」


蘭の声は珍しく感情的だったがその声はどこか自信がなかった。

麗はその言葉に一瞬言葉を失いかける。

でも、すぐにきっぱりと返した。


「それでも、支えてあげるのが恋人でしょう」


しばしの沈黙が流れる。

蘭は目を伏せた。手に握ったお弁当袋が小さく震えていた。


チャイムが鳴り、麗は時計に目をやる。

もともと梨々香を探しに来たのだ。時間がない。

それでもどうしても言わずにはいられなかった。


「梨々香を悲しませないで」


それだけ言い残して麗は背を向けた。

階段を駆け下りながら胸の中が痛んだ。







後日昼休み、麗は校舎裏のベンチに立ち止まり再びふと足を止めた。


──また蘭があの後輩と一緒にいる。


ベンチに腰掛ける蘭。その向かいに座るのは、松野あかり。

無邪気な顔で蘭に話しかけながらお弁当を広げていた。


「……本当に、何してんのよ」


心の中でつぶやいた言葉は苦い感情を伴っていた。

蘭は今でも梨々香のことがちゃんと好きだ。

でも最近梨々香の顔はどこか疲れている。無理をしている笑顔が多い。


(ちゃんと、支えてあげられてるの?)


そう思った瞬間、自分の胸の奥にざらついた感情が浮かぶ。

──それは、もう捨てたはずの気持ち。

彼女の隣にいたいと思っていた、過去の自分。


「……馬鹿みたい」


独りごちると唇をかむ。

だけどどうしても心が落ち着かない。

梨々香が少しずつ遠くなっていく気がして怖かった。


そして次の日の午後、廊下で梨々香とすれ違った。

久しぶりに蘭とお昼を食べられた、と嬉しそうに話す彼女。


──なのに、目は笑っていなかった。

どこか虚ろで言葉の端々に蘭への戸惑いがにじんでいた。


(あんた……何してるの、蘭)



それが、嫉妬なのか、友情なのか、もう分からなかった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ