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In the luce  作者: RRR
一年生編
26/57

episode24 番外編

梨々香達高校一年生の最後の行事 校外学習



校外学習ではディズニーランドを訪れていた。

「蘭、こっちこっち!」


人混みの中、梨々香が嬉しそうに手を引いた。

制服の上に羽織ったパーカーが風に揺れていつもは結ばない髪の毛についたリボンが少し崩れている。そんな些細な仕草さえ、今の蘭には愛しく思えた。


「……そんなに急がなくても、私は逃げないよ。」


「ううん、違うの。蘭と一緒に少しでも長くいたいだけ」



そんなことを真っ直ぐな目で言われて蘭は顔を逸らすしかなかった。

もう慣れたと思っていたのに梨々香のまっすぐな言葉はいつまでたっても蘭の心を揺さぶる。


お目当てのアトラクションの待機列に並ぶと、梨々香が自然に肩を寄せてきた。蘭もそれを受け入れるように、そっと頭をずらす。


「……なんか夢みたいだね、こうして蘭とディズニーなんて」


「現実だよ。梨々香が手、こんなに握ってるし」


「ん、だって人混みだもん。迷子になったら……」


「梨々香が迷子になっても、ちゃんと探すよ。何度でも」


「……ばか」


そう言いながらも、梨々香は嬉しそうに笑った。





夢の国にふさわしく、梨々香の表情はずっと柔らかだった。けれど蘭は気づいていた。

手を繋ぐ強さが、いつもより少しだけ強いことに。


「……蘭って、やっぱり目立つね。さっきも女の子達に話しかけられてたし」


パレード待ちの合間、アイスを食べながら梨々香がぽつりとこぼす。

蘭はアイスのスプーンを口にくわえたまま、面倒くさそうに眉をひそめた。




「誰にでも話しかけられるのって、案外迷惑なんだけど」


「ふふ、それでも蘭はモテるから……」

少し拗ねたような声。

その響きに蘭はようやく梨々香の顔を見る。


「……やきもち?」


「ちょっとだけ。ダメ?」


蘭は何も言わず、梨々香の手を引いた。

人混みを少し離れた木陰に連れ出し、誰の視線も届かない場所へ。

急に歩かされて戸惑う梨々香に蘭は軽く壁際に寄せて顔を覗き込んだ。


「ダメじゃない。むしろ、梨々香にだけはやきもち焼いててほしい」

囁くような声に、梨々香の頬が見る間に染まっていく。


「……そ、それって……」


「ねえ、こっち向いて」


蘭がそっと頬に手を添えて、軽く唇を重ねた。

ほんの一瞬、けれどしっかりと気持ちを伝えるようなキス。

梨々香は何も言えずただ唇に手を当てて呆然と立ち尽くした。


「本当は、キスだけじゃ足りないくらいだけど……今日は我慢してあげる」

そう言ってウインクする蘭の余裕の笑みに、梨々香はたまらず顔を隠した。


夜、パレードのクライマックス。

梨々香は蘭の肩にもたれていた。手は繋いだまま。

イルミネーションに照らされた2人はまるで、本当におとぎ話の中の恋人たちのようだった。


「ねえ、蘭」


「ん?」


「……蘭が他の誰かと来てたらって考えたら、ちょっと嫌だった」


「他の誰かとなんて、来ないよ。私は、梨々香とだから今日が特別なんだもの」


その言葉に、梨々香はぎゅっと蘭の手を握った。

「私も、蘭とだから特別だよ」

小さく告げたその声は、パレードの音に紛れて蘭にだけ届いた。


そして帰りのバス。2人は隣同士の席でブランケットに包まりながら肩を寄せ合っていた。

うとうとしながら蘭が小さく呟く。


「梨々香。……夢じゃないよね、これ」


「夢でもいいよ。蘭となら、何度でも見たい」


そう答える梨々香に蘭は梨々香の頭をそっと抱き寄せて髪にキスを落とした。



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