離れは密室……
※とあるミステリーの真相について触れています。未読の方は先に進まないでください。
離れは密室……
私はナタでドアチェーンを破壊した。
密室を破って離れの中に突入した。
窓も内側から施錠されている。
ドアチェーンによる施錠という不完全ではあるが……
離れは密室だった。
いや、密室でなければいけないのだ。
密室から脱出するための……
針金細工の蝶々……
形状記憶合金で作られた針金の蝶々は存在しないが……
離れは密室でなければいけなかった。
別に密室殺人でなくてもいい!
内側から施錠られた空間に……
首無しの人体模型と……
おもちゃの生首があるだけでもよかった。
犯人はどうやって密室から脱出したか?
その密室トリックは?
殺人のない、死体のない、密室トリックでも……
トリックはトリック!
祝福された死などなくても!
本格ミステリーは構築できる!
そう考えて、過去三作を上梓してきた。
そして拙作「針金の蝶々」は密室物だった。
しかし、現実の世界で、小道具の針金の蝶々は握り潰され、ドアに巻き付けられてしまった。
それでも、離れは密室でなければならなかった!
私が創作したこの世界は本格ミステリーでなければいけない!
創作!
そうこれはフィクションなんだ!
ただ、現実とリンクはしている。
だが、やはりこれは私が創作した、本格ミステリーとしてのフィクション!
離れは密室でなければならなかった!
あの時、そのことだけを考えていたに違いない!




