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殺害動機(良美ちゃんの場合)
※とあるミステリーの真相について触れています。未読の方は先に進まないでください。
殺害動機(良美ちゃんの場合)
違うな……
私は良美ちゃんを殺したかったのだろう……
勝男ではなく、良美ちゃんを!
確かに「針金の蝶々」は出来損ないの作品だっただろう。
決して完成させることのない、未完成の駄作……
それでよかった。
トリックも詳細は思い出せない……
何か、そういう作品を書こうとしていた……
そんな想い出でよかったのだ。
確かに階段のいちりとせを考え出したのは良美ちゃんだった。
しかし――
本格ミステリーって結局雰囲気なんでしょ?
残虐な殺され方は祝福された死なんでしょ?
いや!
それは違う!
いや……
既にすべてがどうでもよかったのだ。
もう、どうにもならなかった。
現実のこの殺人事件という物語をどう終わらせるべきか?
それを懸命に模索していた。
このまま何もしない。
それがベストな回答だったのだろうが……
私はただ一つのことに執着していた。
それは……




