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求めよ、さらば与えられん  作者: 尾崎諒馬
真相を語る あるいは 語られる真相
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主治医の推理に耳を傾ける二人

 ※とあるミステリーの真相について触れています。未読の方は先に進まないでください。



 

   主治医の推理に耳を傾ける二人

   

 密室でも何でもなかったんです!

 

 もし、母屋の二階で殺されたのが姉良美だったら……

 

 鹿野信吾はクーラーボックスのおもちゃの生首を見て立ったまま気絶してしまう!

 

 その間に良美ちゃんと姉良美が入れ替わり……

 

 良美ちゃんは離れに行って寝てしまう。

 

 勝男は姉良美を殺して首を撥ね、半透明のポリ袋にその首を入れて……

 

 勝男は離れに……

 

 そして殺された!

 

 犯人は良美ちゃん!

 

 それ以外考えられない!

 

 良美ちゃんはバケツを頭に被ってベッドで!

 

「うーん」黒川が首を横に振った。「確かに私も勝男が離れに飛び込むのは見ています。その点だけは同意しますが」


 生首……

 

 生きている首、生首……

 

 首は生きている!

 

 生々しい首!

 

 くだらない言葉遊びだ!

 

 離れのベッドに横たわっていたのは生きた良美ちゃんだった!

 

「うーん、なるほど!」尾崎凌駕が少し感心して「言葉遊び、それはあるかもしれません! 尾崎諒馬といえば暗号! 暗号もまた言葉遊び! 例えば、いちりとせの歌詞の中にも暗号が隠されているかもしれません」


「いや、それはどうでもいいでしょう!」黒川が遮る。「それでその生きた良美ちゃんはどうなったのです?」


 尾崎諒馬=鹿野信吾はすぐに立ったまま気絶してしまうんです。

 

 ベッドの良美ちゃんを確認した後、ショックで数分間気絶したに違いない! 立ったままね。

 その間に良美ちゃんは離れから脱出した!

 

「外には水沼がいませんでしたっけ? 水沼は気づかなかった?」黒川が首を傾げる。


 じゃあ、水沼もグルだ!

 

 そうだ! 水沼はずっとドッキリだと思っていたじゃないですか!

 

 離れから良美ちゃんが出て来ても何も可怪しいとは思わなかった!

 

 ほら! 水沼はあとで母屋二階のベッドの生首をみて自分の妻――つまり姉良美のような気がした、みたいなことをどこかで書いている。良美ちゃんが母屋二階で首を斬られて殺されているとはちっとも思ってはいなかったんだ!

 

「かなり強引な推理でしかないようですが」尾崎凌駕は渋い顔をする。


 とにかく!

 

 離れで勝男を殺した――生きたまま首を撥ねて殺したのは良美ちゃんに違いない!

 

 尾崎諒馬は気絶していただけだ!

 

 立ったまま気絶していた!

 

「本当に」尾崎凌駕が真顔で「それでこのミステリーを終わらせるつもりですか? またアンチ・ミステリーにしてしまうつもりで?」


「いっそのこと」黒川がポケットからUSBメモリを取り出した。「ここで映像を見ますか?」


「なるほど、離れの斬首シーン」


「誰が勝男を殺したのか? それがハッキリとわかる」


 いやだ! 見たくない!

 

「なぜです? 犯人の顔がハッキリ映っていますよ」


 いやだ! 残酷なシーンは見たくない!

 

「ひょっとして、犯人の顔を見たくない?」


「もし、それが自分だったら? それが怖い?」


 それは……

 

 それはディープ・フェイクだ。

 

 AIの力を借りれば、誰でも犯人に仕立て上げられる!

 

 見るだけ無駄だ!

 

「わかりました」尾崎凌駕が頷いた。「では、代わりに私が真相を――」



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