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求めよ、さらば与えられん  作者: 尾崎諒馬
真相を語る あるいは 語られる真相
78/97

主治医と黒川

※とあるミステリーの真相について触れています。未読の方は先に進まないでください。



   主治医と黒川

   

「客観的な記述がしたいのなら、先生、あなたも見ますか?」

 そう、USBメモリを突き出す男――

「私は――黒川です。勿論本名は違いますが」

 彼はそう自己紹介した。

 本当に彼が黒川なのか、それは私にわかるはずはない。精神科の主治医としてある患者の書いたミステリー――現実の事件とリンクしているというその作品は読んではいるが、私は黒川の顔を知らない。

「私の人に見せられない秘密をお見せしましょうか? それで信じてもらえますかね?」

 黒川は衣服の一部を脱いで――

 酷い傷跡だった。

「精神科とはいえ、あなたも医者でしょう? 医者だから見せたのですよ。こんなの普通の人には見せられない」


 その傷が子供の頃の勝男に?


「ええ、私にとって勝男の死は祝福されている」


 しかし、祝福された死――その本来の意味は違うでしょう?


「まあ、そうですがね」黒川は笑った。

 祝福しているのは読者だ。事件が残酷であればあるほど、読者はそれを祝福する。読者は世界の外にいる。メタ視点で事件を見ている。

 しかし、この黒川はどうだろう?

 彼は事件当夜、あの別荘に――

 

 ウェディングドレス姿で離れに飛び込んだのは本当に勝男だった?

 

「私はハッキリと見ましたよ」黒川が断言する。「離れに飛び込んだウェディングドレスを着た人物の顔を! 間違いなく勝男でした」


 それを尾崎諒馬=鹿野信吾は良美ちゃんだと思っていたんでしょうか? いや、それは彼の夢の中の話か? 針金の蝶々のストーリーを夢の中で追いかけていた?

 

「直接本人に訊いてみたら?」


 本人に訊く?

 

「まだ、チャットのようなシステムは使えるんじゃないんですかね? そのパソコンで」


 黒川に言われて自分の机の前のパソコンを見る。

 確かにそのチャットのようなシステムはまだ使えるのかもしれない。

 

「まあ、そのシステムで呼び出される『信吾(諒馬)』が誰なのかはわかりませんがね」


 確かに……

 しかしやってみる価値はありそうだ。

 

 果たして信吾(諒馬)は呼び出しに応じてくれた。

 

 その正体がなんであるのか?

 

 あのエレベーターの患者、即ち生身の人間なのか?

 

 電極が突き刺さった脳髄なのか?

 

 あるいは単なるLLMなのか?

 

 それはわからないが……

 


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