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求めよ、さらば与えられん  作者: 尾崎諒馬
介錯を期待するのはやめて真相を語ろう……
65/96

それで動機は?

※とあるミステリーの真相について触れています。未読の方は先に進まないでください。



   それで動機は? 


「それで……」神は探偵を促す。「動機は?」

 

 しかし探偵は何も答えない。ただ笑っている。

 

「ふーむ、それで、ではなくて、ということは、ですかね? ということは……。祝福された死、ということは、殺人の動機はとてつもない怨恨なんでしょうね?」

 

 さあ、どうなんでしょうね?

 探偵はやはり明確には答えない。


「ふーむ、探偵は動機については推理しない?」

 

 いや、寧ろ神はどうなんです? 神はすべてを知っているんでしょう?


「いや! 神と言っても神の視点を持っている、というだけですよ。映像ですべてを見てはいるけれども……。その顔でそれが誰かはわかるけれども……。その誰かが何をしたか、つまり密室の謎もわかってはいるけれども……。その誰かの心の中まではわからない」

 

 つまり、神にも動機まではわからない?


「ええ、で、探偵はどうなんです?」


 動機については……

 

 探偵は考え込む。

 

 整理しましょうか? 被害者とその殺され方について――

 

 まず最初の被害者は――

 

 姉良美。

 

 そうそう、どこかに戸籍謄本がありましたね。

 

 旧姓尾崎良美。佐藤稔と結婚して佐藤良美になった。

 

 ここでの佐藤稔は小説内では水沼と呼ばれていますね。ミステリー作家でペンネームは坂東善。最初の被害者はその佐藤稔の妻の良美で、勝男の姉でもある。その姉良美は……

 

「自宅で殺された」神が笑って「殺したのはあなたではないんですよね?」


 さあ、どうなんでしょうね? まあ、こうして探偵が復活したのですから、殺したのは私ではなく、尾崎諒馬=鹿野信吾、ということで……

 

 殺害方法は……

 

 そして動機は……

 

 まあ、いいでしょう。次は……

 

 旧姓祐天寺良美。こちらも戸籍謄本がありましたよね。尾崎勝男と結婚して尾崎良美となった。

 

 ああ、尾崎姓は小説内では近藤です。尾崎グループは近藤グループ。グループ内の子会社、尾崎メディボーグは近藤メディボーグです。

 

 旧姓祐天寺良美は別荘母屋二階で瀉血処理にて殺害された――いや、それは事故だったかもしれないし、瀉血による出血だけでは死ななかったのかもしれない。

 とにかく、その後、心臓を抉られ、斬首された。

 

 犯人は勝男ですが、尾崎諒馬=鹿野信吾は「自分が殺したようなものだ」とも思っているのかもしれません。

 

 そして最後の被害者は……

 

 尾崎勝男!

 

 これも戸籍謄本が出てきましたよね。会長の息子で旧姓祐天寺良美の夫、いや、一言で言うならサイコパス!

 

 彼は別荘の離れに自分の妻の生首を持ち込んで籠城したあと、尾崎諒馬=鹿野信吾によって殺された!

 

 いきなり斬首されて!

 

 その後、心臓を抉られて!

 

 やはりいきなり斬首というのはあまりにも残酷です!

 

 それで、その動機は?

 

「なるほど!」神が嬉しそうに言った。「このミステリーは小説上の名前とか、実際の名前とか――固有名詞がややこしい。それで戸籍謄本まで持ち出してきて――それを探偵はちゃんと理解している!」


 いやいや……

 

 とにかく今の話題は動機です。殺人の動機は……

 

 いや、やはりそれは……

 

「どうしました? 動機は何だと推理されます?」


 いや、やはり、そこは本人に譲りましょう!

 

「本人とは?」


 尾崎諒馬=鹿野信吾!

 

 犯人にして作者!

 

 


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