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求めよ、さらば与えられん  作者: 尾崎諒馬
介錯を期待するのはやめて真相を語ろう……
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63/103

嘘は正さなければならない

 ※とあるミステリーの真相について触れています。未読の方は先に進まないでください。



 

   嘘は正さなければならない

   

 ああ、探偵の言う通りだ……

 

 離れのバスルームにはカメラはなかった……

 

 あのミステリーの……

 

  第二部 

   五章 に、

  

 鹿野は血の付いた牛刀を右手に持ち、狂ったようにネグリジェの胸の辺りに突き立てていた。血がほとばしり、鹿野は返り血を浴びた。牛刀はバスタブ内に落ちていたやつだ。多分、凶器に間違いなかった。犯人もそれを使ったのだろう。

 勢いでポリ袋が外れたが、やはり首はなかった。それを鹿野はまったく気にしていないように見える……

 そうして牛刀を持ったままバスルームを出ると床に転がっている近藤の生首を鷲掴みにした。

 それをカメラがしっかりと捉えていた。カメラの映像を見る限り、確かに鹿野はそうしたのだ。 

 

 そう書いている。

 

 しかし、カメラはバスルームにはない!

 

 カメラが捉えていたのは尾崎諒馬=鹿野信吾がバスルームを出た後だけで、バスルームでの出来事は何も捉えてはいない。

 

 記憶では確かにバスルームの人体模型の胸の辺りに牛刀を突き立てた。しかし……

 

 血がほとばしり、鹿野は返り血を浴びた。

 

 というのは嘘だ!

 

 人体模型の胸には確かに血の入った心臓を模した血液バッグが装着されていたけれども、血がほとばしることはなかった。

 

 あれは、あのシーンを強調したかったのだ。

 

 離れにカメラを設置したのは自分だ!

 

 そして離れで勝男を殺したのも自分だ!

 

 殺害シーンは映像に撮られている!

 

  第四部

  〇〇〇お茶会 4 で、

  

 青服が「会長以外に一人映像を全部見ているものが……」とか切り出して……

 

 殺し屋首猛夫があるシーンを見たと……

 

 彼から聞いた伝聞系の表現で……

 

 ある人物が首のない遺体の胸に牛刀を突き刺すの見た――

 

 それで、血が噴き出してその人物に血がかかった……

 

 その「ある人物」こそ私、尾崎諒馬=鹿野信吾であるのだが、それが大したことではない、と誤魔化すために……

 

 それがバスルームでの人体模型に対する行為だと証言したのだ!

 

 あの離れで勝男を殺害した私は多少は返り血を浴びただろう!

 それを人体模型を切りつけたことによるものにすり替えたのだ。

 

 バスルームにカメラがないことはその時は誰にも指摘されなかった。すり替えたその嘘でその場は何とか切り抜けられたのだ。

 

 私、尾崎諒馬=鹿野信吾はバスルームで人体模型を切りつけたかもしれないが、返り血は恐らく浴びていない。

 

 探偵の指摘通り、嘘はきっちりと正しておく……

 

 

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