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求めよ、さらば与えられん  作者: 尾崎諒馬
介錯を期待するのはやめて真相を語ろう……
52/96

このミステリーは一体? (神から見て)

 ※とあるミステリーの真相について触れています。未読の方は先に進まないでください。


 

   このミステリーは一体? (神から見て)

 

「神である黒川さんは真相を知っている。しかし動機まではわからないでしょう?」探偵が訊く。

「確かに真相はわかっています。この小説にはUSBメモリに入った映像――それは膨大な長さの映像を切り出した一部ですが――その映像については語られています」

「私は失顔症なので――」

「ええ、ですが仮にあなたが失顔症でないとしても、あの切り出された映像だけでは密室トリックまではわかりません。ですが、とにかく、私はその切り出す前のすべての映像をザクっとですが見ています。それで密室トリックもわかっています。ただ、確かに動機についてはわかりませんね」

「では、神から見てこのミステリーは、つまり? 一言で言うと?」探偵が訊く。

「ミステリーなのでしょうか?」神は話し始める。

 

 尾崎諒馬が純文学に気触れているのなら……

 

 彼の内面が投影された現実の出来事――但し、それは太宰治的に虚構に塗れた現実――それを書いた小説です。

 

 作者が予想し……

 

 期待した現実……

 

「しかし」探偵が口を挟む。「その現実はちょっとだけ予想からも期待からも外れてしまっていた」


 神は頷いて続ける。

 

 それと――

 

 作者は多重人格(解離性同一性障害)でした。

 

   多重人格(解離性同一性障害)についてAIに訊く


 そういう章がありましたよね。

 

 この小説は彼の解離性同一性障害の治療の一環で書かれた小説

 

 そういうことなのかもしれません。

 

 例えば、記憶にない人格の過去の行動(そんなことを自分がするはずはない)を自己分析により「ああ、確かにそうする心情的なものは自分の中にあったんだ」と理解することで、人格の統合が行われ治癒が進むのではないでしょうか? 認めたくない自分のダークな部分を認めることで精神が癒されるみたいな……

 

 これに対してAIは、

 

 まさに、そのプロセスが治療において重要なポイントになります。「認めたくない自分の一面を受け入れることで、人格が統合されていく」 というのは、実際の治療でも重視される考え方ですね。

 

 そう答えている。

 

「なるほど」探偵が頷く。


 神が続ける。

 

 それより――

 

 佐藤稔の自宅は本当に平屋だった?

 

 探偵は笑って答えなかった。

 

 ほう、ここにきてまだシラを切りますか!

 

 先ほどあなたはこう言いましたよね? 「犯人は判明しているから、フーダニットではない!」

 

 本当に犯人はすべて判明しているのでしょうか?

 

 更にこう続けましたよね? 「最初の姉良美殺害の犯人……。いや、これは置いておきましょう」


「ええ、確かに」探偵は頷いた。「それは認めるので今は置いておきませんか?」


 私はこう言いましたよね?

 

 ちょっと異議がありますが……、と。

 

「神の異議申し立ては」探偵は少し笑って「その次の私の言葉に対しても行われたんでしょう?」


 神は少し驚いた顔をした。

 

「私はこう続けました」探偵が真顔で「次の良美ちゃん――旧姓祐天寺良美殺害の犯人は近藤社長――つまり勝男……。まあ、それは事故死だった、という異議だったのかもしれませんが……。しかし次の――、最後の近藤社長――勝男殺害の犯人は尾崎諒馬=鹿野信吾、これにも神は異議を唱えるのでしょう?」


 神は笑った。

 

 異議だらけです。

 

 近藤社長の死は事故死です!

 

「なるほど」探偵は唸った。「読者は納得するかもしれませんね。密室の中に死体があれば自殺か、事故死だと」


 神は首を横に振った。

 

「ただ」探偵は続ける。「神は真実を語る。神は嘘は吐かない」



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