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求めよ、さらば与えられん  作者: 尾崎諒馬
介錯を期待するのはやめて真相を語ろう……
45/96

やはり話を少し飛ばす

 ※とあるミステリーの真相について触れています。未読の方は先に進まないでください。 


 

   やはり話を少し飛ばす

   

 事件そのものの真相を語るのはもう少し後にして、話を飛ばす。

 

 私と彼と殺し屋と……

 

 という章に、

 

「しっ、いいから聞いてくれ。だからその犯人は別にいるんだ。恐らく、どこかに隠れて俺たちの決闘の様子を窺っているに違いない。だから――」

「だから?」彼も少し落ち着いた口調でそう促す。

「俺たちが決闘しているフリをして、相撃ちで倒れれば、きっと真犯人が出てくるに違いない。そう思わないか?」

「なるほど」

   

 そう書いた。

 

 ナタとハンマーで殴りあって相打ちになり気絶するフリをした。

 そして殺し屋首猛夫が現れて……

 

 その後のことをこう書いた。

 

 私、水沼はあの時、殺し屋首猛夫と入れ替わったのだ!

 

 そうなのだ。殺し屋首猛夫が、気絶しているフリをしている私、水沼を運ぼうとした際に私は彼にとびかかった。

   

 殺し屋に飛び掛かり、武器を奪った。ナタだったか? ハンマーだったかは記憶にないが、とにかく殺し屋を打ちのめすことに成功したのだ。

 

 これは確かに実際にあったことだが……

 

 私は水沼ではない。

 

 尾崎諒馬=鹿野信吾だ。

 

 水沼が殺し屋を打ち倒すことに成功したのは確かだが、私=鹿野信吾が彼=水沼に成りすまして書いている。

 

 私は自殺するつもりはまだなかった。

 仮にするにしてもまだやるべきことが山のようにあった。

 

 次の

 

 マスクとサングラスで変装

 

 という章で、

 

 私は気絶している殺し屋首猛夫と自分の服装を交換した。彼もそれを手伝ってくれた。

 

 そう書いた。

 

 真相を書けば、殺し屋と衣服を交換した私というのは尾崎諒馬=鹿野信吾で、それを手伝った彼、というのは水沼=坂東善だ。

 

 更に、

 

 そして自殺するつもりの彼をおいて、自分と彼の車の鍵を持って――

 

 更には生首が三つ入ったゴミ袋を提げて――

 

 別荘の駐車場で黒川と相対した……。

 

 そう書いている。

 

 彼、水沼は自殺するつもりはない。

 

 では、どうなったのか?

 

 いや、それは後で書くとして……

 

 黒川に顔を見られた私だが、幸い彼は尾崎諒馬の顔も、殺し屋首猛夫の顔も知らなかった。

 

「黒服です。ここで待っていました。任務は遂行したのですか? 勝男を殺してその首がここに?」


 そう言った彼、黒川に便乗して私、尾崎諒馬は殺し屋首猛夫に成り代わったのだ。

 

 

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