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求めよ、さらば与えられん  作者: 尾崎諒馬
介錯を期待するのはやめて真相を語ろう……
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サングラスとマスクで変装した理由

 ※とあるミステリーの真相について触れています。未読の方は先に進まないでください。


 

   サングラスとマスクで変装した理由

   

 孫請けで得た、隠しカメラを設置してサーバーを構築する仕事の現場……

 それが、自分もパーティに招待されている別荘だと知って少し慌てた。

 幼馴染の婚約パーティーに招待されていたが、その別荘に隠しカメラを仕掛ける仕事をひょんなことからすることになったのだ。

 招待されている私というのは、ミステリー作家の尾崎諒馬であって、コンピューター・エンジニア――それもしがないアルバイトの佐藤稔ではないのだ。

 それで変装したのだ。サングラスとマスクで顔を隠したのだ。顔に火傷の痕があるとか何とか誤魔化して、声色も少し変えて……

 傍から見れば変な男だっただろうが、一週間後には、ミステリー作家、尾崎諒馬としてその別荘のパーティに参加する予定だったので、顔を見られるわけにはいかなかった。

 ササっと仕事してさっさとズラかるつもりだったのだが、社長に捕まってしまった、そういうことだ。

 

 そして……

 

 幼馴染とも会っている。

 

 社長の婚約者がその幼馴染だった。

 

 勿論、サングラスとマスクで変装していたし、声色も変えていたので、幼馴染は気づいてなかったが……

 

 というか……

 

 私は多重人格(解離性同一性障害)……

 

 尾崎諒馬は私の主人格ではなく、いくつかある副人格の一つだった。

 

 その人格が表に出て来なくなり、私はミステリーが書けなくなった……

 

 いや、単に才能が枯渇したのだ。

 

 才能が枯渇してその人格が現れなくなったのだ。

 

 それで私は……

 

 生きるためにコンピューター・エンジニアに戻ろうとしていた。

 

 しかし……

 

 幼馴染は私のミステリー執筆を応援していた。

 

 それであの別荘を……

 

 針金の蝶々の舞台になった別荘によく似た別荘を……

 

 そしてそこで……

 

 それで私の中の尾崎諒馬という人格が……

 

 ミステリー作家の人格が……

 

 再び顔を出し始めていた……

 

 一週間後、別荘を訪れた私は……

 

 人格がミステリー作家、尾崎諒馬に……

 

 更には、その尾崎諒馬の書くミステリー内の登場人物、ワトソン役の鹿野信吾になってしまっていた。

 

 そして……

 

 尾崎という姓は近藤に……

 

 幼馴染は良美ちゃんに……

 

 旧友の同姓同名のあいつは……

 

 水沼=坂東善になってしまっていた。

 

 ただ……

 

 名探偵尾崎凌駕はどこにもいなかった。

 

 だから……

 

 実際には事件など起きない、そう思っていたのだが……

 

 起きてしまった……

 

 それも殺人事件が……

 

 本格ミステリー作家が実際の殺人事件に巻き込まれた時……

 

 本格ミステリー作家はそれをミステリーに書くべきか?

 

 やはり書くべきだろう……

 

 しかし、それには時間が必要だった。

 

 二十年以上の時間が……

 

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