フリーの仕事とは
※とあるミステリーの真相について触れています。未読の方は先に進まないでください。
フリーの仕事とは
この小説の最初の方……
かつてLinuxでDVR環境を構築
という章で……
私は早稲田大学理工学部、電子通信科卒で、新卒時はコンピューター・エンジニアとして大手メーカーに就職した。
しかし、精神的にちょっと疲れてしまい、数年で退職し、とあるフリーの仕事――エンジニアではない――をすることになった。
そう書いている。
黒川さんとの話の中で、フリーの仕事=殺し屋、そうなってしまったが、それは嘘だ。
私は本名佐藤稔で、あのミステリーの中で藤沢元警部と名乗って最初に登場している。しかし、その藤沢元警部は実は殺し屋首猛夫だ――これも嘘なのだが――そういう展開にしたので、黒川さんの勘違いに便乗したのだが、実際のフリーの仕事とは……
ミステリー作家
私は大手メーカーを退職した際、第十八回横溝正史賞佳作でミステリー作家としてデビューしたのだ。
私は尾崎諒馬だ。
思案せり我が暗号でデビュー後、死者の微笑、ブラインド・フォールドと計三作上梓したが後が続かなかった。
私には殺人事件が書けなかった。
それで生活のためにフリーのコンピューターエンジニアとして、仕事をしていた。正社員ではないアルバイトみたいなものだ。
あの別荘に隠しカメラを設置し、サーバーを構築する仕事をしたのだ。
とにかく……
ミステリー作家で食っていくことは私には無理だった。




