回想する鹿野信吾(良美と良美ちゃん)
※とあるミステリーの真相について触れています。未読の方は先に進まないでください。
回想する鹿野信吾(良美と良美ちゃん)
仲の良い姉妹(本当の姉妹ではなかったが)の良美ちゃんと良美。
良美ちゃんにとって私が初恋の人……
しかし、私の初恋は良美だった……
良美ちゃんは私を愛してくれた。
しかし、良美は私を愛してはくれなかった……
良美ちゃんは私のミステリー執筆を心から応援してくれた。
しかし、良美はミステリーそのものを毛嫌いした。
良美は人殺しの話が心底嫌いだった。
私は殺人の起こらないミステリーを書いた。
良美に嫌われないために……
でも良美は私を見捨てて……
ミステリーを捨てたあいつと結婚した。
酷い女だ……
でも……
私は良美を愛していた……
そして良美ちゃんを愛してはいなかった……
良美は尾崎凌駕を想っていた……
私と付き合っていたが心は……
いや身体も彼に捧げていた……
私もそれは薄々わかってはいた……
しかし彼女は女だった……
私にとって彼女は唯一の女だった。
愛してはくれず、ミステリーも心底嫌っていたが、私と彼女――良美は男女の関係にあった。
彼女と身体を重ねるとき、私は獣になれた。
男という獣になれた。
彼女は愛してはくれなかったが私を男にしてくれた。
それは感謝している。
良美ちゃんは私を愛していた。
しかし私は彼女を愛してはいなかった。
良美ちゃんは……
いや、つまり……
女ではなかった……
私は獣になれなかった……
良美ちゃんはとても可愛いかったけれども……
私を男にしてはくれなかった……
――良美ちゃんと鹿野信吾は昔、そういう仲だったのだろう……
何処かで水沼がそう書いているが……
私と良美ちゃんの間に男女の関係はなかった。
しかし良美ちゃんは私のミステリー執筆を心から応援してくれていた。
何かが狂ったのは……
サイコパスの勝男……
それと……
勝男を殺そうとした会長……
いや……
悪いのは私だ……
狂っているのは私だ……
本当は良美のことはもうどうでもよかった……
要するに……
利用したのだ……




