神と探偵の対決?、いや、対話?
※とあるミステリーの真相について触れています。未読の方は先に進まないでください。
神と探偵の対決?、いや、対話?
尾崎凌駕「勝男のサイコパスが発露する時発するキーワード、黒川さんはご存じなんでしょ?」
黒川「ええ」
尾崎凌駕「それは何ですか?」
黒川「答えてもいいですが、自明でしょう。小説を読めばわかる」
尾崎凌駕「なるほど」
黒川「それより読者への挑戦状へ戻りませんか? 1 首猛夫はいかにして殺しの任務を遂行したか?」
尾崎凌駕「首猛夫は殺しの任務を遂行できなかったんでしょう? こちらの佐藤さんが殺しの下手人で――、それは残っている映像から明らか――。私は失顔症でだめですが、黒川さんあなたなら顔でわかる」
黒川「ええ」
尾崎凌駕「で、佐藤さんは首猛夫だと最初白状してますが、実際は首猛夫と入れ替わった」
黒川「挑戦状1の回答は首猛夫は殺しの任務を遂行してはいない」
尾崎凌駕「ええ、遂行したと主張されただけです。小説の中で」
黒川「2 密室の謎はまだ解けていない。如何にして密室は構成されたか? この解答は?」
尾崎凌駕「犯人は水沼なので、小説内で磁石を使ったトリックが説明されてましたよね?」
黒川「水沼は離れの玄関ドアに手を掛けて開こうとしたのではなく、開かないように押さえていた?」
尾崎凌駕「ええ」
黒川「しかし、それが事実だとしても彼に殺人斬首する機会があったのでしょうか? 勝男が離れに飛び込んで、僅かに開いたドアの隙間から生首が発見されるまで、水沼はずっと外にいた。生首は実は床下の穴から顔を出していた、というトリックは基礎の浅さで無理だと――」
尾崎凌駕「そうですね。密室の謎は残されたまま――」
黒川「3 ブリキの花嫁が離れに持ち込んだ首がベッドで殺した『良美ちゃん』の首ではなく、クーラー・ボックスで持ち込んだ『良美』の首だったのはなぜか? これの答えは? これは尾崎凌駕さんあなたが付け加えた――」
尾崎凌駕「ええ」
黒川「あなたの手記の『かもしれない』は答えではないのでしょう?」
尾崎凌駕「そうなりますかね。おそらく――」
黒川「またとぼける」
尾崎凌駕「正確には……。3 ブリキの花嫁が離れに持ち込んだ首がベッドで殺した『良美ちゃん』の首ではなく、クーラー・ボックスで持ち込んだ『良美』の首だったとされているのはなぜか? ですかも」
黒川と尾崎凌駕が私をじっと見る。沈黙が続く。
黒川「最大の謎は挑戦状にはないんじゃないでしょうか?」
尾崎凌駕「例のあれですね? 創作漢字」
黒川「国構え、合呂、左右にチョンチョン」
尾崎凌駕「ええ、あれは会長の割腹自殺の映像――生成AIの作り出した映像ですが、あれで――」
尾崎凌駕「会長がカゲバラ――予め切腹していて、黒服だったか青服だったか介錯して……。勿論それも生成AIの作り出した映像ですけども……。とにかく会長の首の切断面がハッキリと――」
黒川「介錯されて会長は前向きに倒れた?」
尾崎凌駕「ええ、後ろ向きに倒れたら切断面は見えませんからね」
黒川「ゼットンにやられて前向きに倒れたウルトラマンみたいな……」
尾崎凌駕「そうそう」
二人がじっと私を見る。
尾崎凌駕「勝男を斬首して殺害したのは佐藤さんあなたですよね。それは映像から明らか――。それであなたは水沼だと。それで動機は何なんでしょう? 水沼は何故――」
私「今日はこれで勘弁してください。あとは作者の私が何とかします」
それでお茶会はお開きになった。
いや、作者の私が終わらせたのだ……
強制的に――




