表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
求めよ、さらば与えられん  作者: 尾崎諒馬
神と探偵の対決?、いや、対話?
26/96

殺害シーン動画を三人で見る その前に

 ※とあるミステリーの真相について触れています。未読の方は先に進まないでください。


   

   殺害シーン動画を三人で見る その前に

   

 三人は人体標本室を出て、私――SEの佐藤の部屋に移動した。パソコンであの映像を見ようというのだ。

 

 尾崎凌駕「映像は、神の視点を持つ黒川さんの持参したやつを見るんですよね?」

 

 黒川「いや、今日は持参していません。カメラは複数台あって、録画時間も結構あります。データは膨大ですし……」

 

 尾崎凌駕「小説のどこかに、あなたもUSBメモリに映像を――」

 

 黒川「あれはハッタリです。しかし、ある程度映像は見てはいるので、もし何かオカシイところがあればすぐにわかりますよ」

 

 尾崎凌駕「ディープ・フェイク映像はすぐ見抜けると?」

 

 黒川「ええ、それに――」

 

 尾崎凌駕「それに?」

 

 黒川「小説の嘘を正しておきますが、青山――青服がミスをして録画を誤って止めてしまって、私が到着して復旧させるまで三十分ほど空白の時間がある、というのは嘘ですね。青山はミスはしておらず――従って録画は止まっていない」

  

 尾崎凌駕「なるほど、そもそもあなたはサーバーのあった部屋に入ってはいない。なので復旧作業もしていない」

 

 黒川「ええ、映像は複数チャンネルで、時間も長いですが、早送りでザクっと見てはいますよ。で……」

 

 尾崎凌駕「母屋二階の話ですか?」

 

 黒川「そうです。小説のどこかに、ウォーキング・クローゼットの中には誰もいない、とか書かれていますが、それは嘘ではないと思いますよ。誰かがクローゼットに出入りした映像は映っていません」

 

 尾崎凌駕「つまり、私の書いた『かもしれない』は映像から否定されるわけですね」

 

 黒川「尾崎凌駕さん、あなたが書いた――勝男がつい疲れてウトウトした時に、クローゼットに隠れていた誰かが、外に出て来て――、そういうシーンは映像にはない、それは確かです」

 

 尾崎凌駕「私は、かもしれない、そう曖昧に書いただけで……。まあ、とにかく、映像は何を見るんです? 黒川さんが持参してないとなると……」

 

 黒川「とにかく編集前の映像データは膨大なんですよ。佐藤さん、カメラは何台ありましたっけ? あなたが構築したんでしょ?」

 

 不意に私に話がふられて、少しドギマギする。

 

 私「四台かと。母屋二階の寝室、離れ、母屋階段踊り場、あと離れの玄関前」

 

 黒川「結局バスルームにはないわけですね。悪趣味で破廉恥とか書かれていましたが、バスルームにはない」

 

 私「はい」

 

 尾崎凌駕「すると、SEの佐藤さんがお持ちの映像を見るんですか? ディープ・フェイクの可能性は?」

 

 黒川「もし何か細工があれば、私にはわかると思いますよ」

 

 尾崎凌駕「なるほど。失顔症――相貌失認の私は騙せても、神の視点を持つ黒川さん騙せない、ということですね」

 

 黒川「ええ、とにかく、残酷な映像ですが、二つの殺戮シーンを一緒に見てみましょう」

 

 二人が私をじっと見る。

 私は観念してパソコンのマウスを操作した。

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ