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求めよ、さらば与えられん  作者: 尾崎諒馬
神と探偵の対決?、いや、対話?
25/96

チョーカーと斬首 

 ※とあるミステリーの真相について触れています。未読の方は先に進まないでください。



      

   チョーカーと斬首 

 

 尾崎凌駕「小説にチョーカーが出てくるでしょう? 首に巻くやつ――。出てくると言ってもサラリとですが」

 

 黒川「ありましたね。それに首の周りの日焼けの痕とか何とか――。祐天寺良美、あ、籍は入れていたから尾崎良美は日焼けの痕を隠すためにチョーカーを……」

 

 尾崎凌駕「いえ、日焼けの痕は勝男の方で、良美ちゃんからチョーカーを借りて……」


 黒川「まあ、とにかく日焼けの痕は隠さないと――」

 

 尾崎凌駕「隠す? なぜ?」

 

 黒川「バケツを被ったブリキの花嫁は勝男か? 良美か? 区別がつかない――それが、日焼けの痕でどちらかわかったら困るでしょ?」

 

 尾崎凌駕「なるほど、でも、ほら、社長さんファンデーション塗ってたよね――そう言われていたでしょ? チョーカーじゃなくてファンデーションで隠せばいいのでは?」

 

 黒川「逆も考えられますよ。実は日焼けの痕などなかった。日焼けの痕はファンデーションを使ったメイクで……」

 

 尾崎凌駕「ほう! なぜ、そんな手の込んだことを」

 

 黒川「これから斬首殺人が行われるという、本格ミステリーの伏線というか、演出?」

 

 尾崎凌駕「切断しやすい頸椎の隙間の目印?」

 

 黒川「まさか、尾崎さんあなたが付けた?」

 

 尾崎凌駕「まさか」

 

 私「ひょっとしたら、良美ちゃんの方に首にチョーカーの痕があったのかもしれませんよ。日頃から付けていた可能性が……。それで社長もその痕を付けようとメイクで……」

 

 私が口を開いたので、二人がこっちを見る。

 

 尾崎凌駕「なるほど、一理ありますね。というかまるで……」

 

 私「まるで?」

 

 尾崎凌駕「いや、良美ちゃんは日頃からチョーカーを愛用していた? それをご存じ? 殺し屋首猛夫はそれを知っている?」

 

 私「女性ならチョーカーくらいするでしょう」

 

 尾崎凌駕「確かに。男性がすると、ちょっと変ですが――」

 

 黒川「男がチョーカーを巻くのはちょっとあれですが、勝男のような男なら特に変でもないでしょう」

 

 尾崎凌駕「女装趣味?」

 

 黒川「というか、女性として生きたいとも考えていたようですし……」

 

 尾崎凌駕「手術はしていませんが、女性ホルモン投与は受けていたんでしたっけ?」

 

 黒川「ええ。それより、佐藤良美――姉良美はどうだったんですか? あなたが殺した」

 

 尾崎凌駕の表情が強張った。

 

 尾崎凌駕「二人の良美は同じような服装をしていた。ほら、お揃いのペアルック。仲良し姉妹。――そう書きましたね、確かに。二人ともチョーカーをしていたのかもしれませんね。ハッキリと憶えていませんが」 

 

 私「あの映像を見れば、ハッキリしますよね。首の日焼けの痕がどうなっているのか? それに勝男と良美ちゃんの耳の形も――」

 

 私がつい口を挟む。そろそろこの冗長な状況は終わらせないといけない。

 

 黒川「場所を変えますか?」

 

 私「私の部屋に行きましょう」

 

 尾崎凌駕「彼はどう思っているんでしょうねぇ」

 

 尾崎凌駕の視線の先に四万本の電極が脳に突き刺さった生首標本があった。

 

 黒川「首は生きている……生首」

 

 尾崎凌駕「確かに首は生きてここにいる」

 

 尾崎凌駕が私をじっと見る。

 

 私「いいえ、首は死んでいます。とにかくここは出ましょう」

 


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