改めて、〇〇〇お茶会 1
※とあるミステリーの真相について触れています。未読の方は先に進まないでください。
改めて、〇〇〇お茶会 1
場所は医療センター地下四階より更に地下の人体標本室。例の四万本の電極の突き刺さったあの生首標本の前にて――
メンバーは探偵役に復帰した尾崎凌駕と神の視点を持つ黒服こと黒川、それに私、SEの佐藤。
黒川「失踪したのに探偵復帰とは驚きました。尾崎凌駕さん、初めまして」
尾崎凌駕「まあ、相変わらず迷う方の探偵かもしれませんが、初めまして、神の視点を持つ黒……」
黒川「黒川です。本名じゃないですが、いいじゃないですか」
簡単な挨拶を交わした二人は私を見る。
尾崎凌駕「失顔症なので、顔は憶えてないですが、SEの佐藤さん?」
私「ええ」
黒川「では、始めましょうか?」
尾崎凌駕「事件にまだ謎が残ってるんですかね? 最初の佐藤良美、姉良美の殺害犯人は私、尾崎凌駕で、次の尾崎良美、妹――義理ですが――良美の殺害犯人は勝男。そして、その勝男を殺した犯人は殺し屋首猛夫で……」
尾崎凌駕が私を凝視する。
私「その殺し屋首猛夫は私――つまりSEの佐藤だった……。そうなってますね」
尾崎凌駕「なってます?」
黒川「まあ、神の視点を持つ立場から、それでほぼ正解だと――」
尾崎凌駕「ほぼ?」
黒川「犯人は誰か? フーダニットという視点からは事件はほぼ解決してますよ。だた、密室の謎はまだ残っていますね。ハウダニットとしては謎は残っている」
尾崎凌駕「私の解明した密室トリックは無残に否定された」
黒川「ええ、現場を確認しましたが、基礎は浅かったのでね」
尾崎凌駕「しかし……。完全な自己陶酔と支配欲: 凌駕は非常に知性が高く、自身の論理や思考力に絶対的な自信を持っている人物として描かれています。彼にとって、自身の完璧な計画を誰も見破れないこと、そして最終的には彼自身だけがその真実を理解している状況は、一種の陶酔や優越感をもたらすのかもしれません。とまあ、酷い言われようです。確か、私のことをAIがそう言っていたような……」
黒川「陶酔や優越感はない?」
尾崎凌駕「ええ、苦し紛れにそれっぽい密室トリックを即興で捻出しただけのことです」
黒川「ということは、真の密室トリックはわかっていると? でもそれを披露できない理由がある?」
尾崎凌駕「さあ、どうでしょう?」
黒川「それでは探偵失格では?」
尾崎凌駕「探偵の仕事を完遂したとて、その対価はどうなるのでしょうか? 見積もりを出した方がいいですか?」
妙な沈黙が続く――
尾崎凌駕「真の探偵役は読者、どこかにそうありませんでしたっけ?」
黒川「確かに。すると小説内の探偵の役割は?」
尾崎凌駕「フェア・ミステリーであるために、読者に正しい手掛かりを示すこと――ですかね?」
黒川「なるほど」
尾崎凌駕「ということで、最後密室トリックが解明されるかどうかはわかりませんが、遡って疑問点を洗い出していきませんか? 神の視点を持つ黒川さんがおられることだし、それで何かがわかるかもしれない」
私はただ黙って二人の会話を聞いている。私が勝男を殺したことは間違いない。ただ、現場は密室だった。二人の会話の先にその回答があるのだろうか?
こうしてお茶会は続いていく……




