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求めよ、さらば与えられん  作者: 尾崎諒馬
開幕――再び幕が上がる
21/103

首を洗って……

※とあるミステリーの真相について触れています。未読の方は先に進まないでください。 



   首を洗って……

   

 首を洗ってこの章を書く。

   

 そろそろ観念しないといけないだろう。

 

 藤沢=首猛夫=SEの佐藤

 

 そういうことだ。

 

 黒川さんはあの映像を見ている。彼に嘘を吐くことはできない。彼は神の視点を持っている、そう言ってもいいだろう。

 尾崎凌駕は抱える障害のため、映像を見ても誰が犯人なのか? それがわからない。それを期待して、彼にUSBメモリの映像を見せたのだ。

 

 彼の優れた頭脳に頼れば、失顔症という障害があっても、真実に辿り着くかもしれない。そう期待した。

 

 しかし、それは無理だった。

 

 名探偵ではなく、迷探偵だった……

 

 ああ、最初から彼はそう言っていたか……

 

 このミステリーは嘘に塗れている。

 

 嘘を記述して真実に迫るミステリー

 

 尾崎凌駕の手記に確かそうあった。

 

 すべてを燃やし尽くせ!

 生首が三つ

 

 の内容は現実と異なっている。そう私は嘘を書いた。

 

 別荘での駐車場で黒服と会ったことを何故書かなかったのか?

 

 嘘を記述して真実に迫るミステリー

 

 嘘が嘘だとわかっている者――真実を知る者にある種の居心地の悪さを突きつける。

 

 ――いや、それは嘘だ! 間違いだ!

 ――真実は……

 

 真実を知る者は居心地の悪さから、そう真実を吐露したくなる。その誘導のために嘘が記述される。

 

 実際に私の書いた嘘に反応して、黒服――黒川さんが私を訪ねて来てくれた。

 

 探偵役の尾崎凌駕が退場してしまった以上、代わりの探偵――若しくは真実を知る者が必要なのだ。

 

 嘘を嘘だと指摘してくれる神の代理が必要なのだ。

 

 始めた以上、終わらせないといけない。

 

 強引に終わらせれば、アンチ・ミステリーになってしまう。

 

 本格ミステリーとして終わらせるには……

 

 嘘を記述して真実に迫る――

 

 そうするしかないのだ。

 

 藤沢=首猛夫=SEの佐藤を私が認めたのだ。

 

 黒川さんの指摘で認めざるを得なくなったのだ。

 

 私も嘘を正して真実を語ることにするしかあるまい。

 

 


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