首を洗って……
※とあるミステリーの真相について触れています。未読の方は先に進まないでください。
首を洗って……
首を洗ってこの章を書く。
そろそろ観念しないといけないだろう。
藤沢=首猛夫=SEの佐藤
そういうことだ。
黒川さんはあの映像を見ている。彼に嘘を吐くことはできない。彼は神の視点を持っている、そう言ってもいいだろう。
尾崎凌駕は抱える障害のため、映像を見ても誰が犯人なのか? それがわからない。それを期待して、彼にUSBメモリの映像を見せたのだ。
彼の優れた頭脳に頼れば、失顔症という障害があっても、真実に辿り着くかもしれない。そう期待した。
しかし、それは無理だった。
名探偵ではなく、迷探偵だった……
ああ、最初から彼はそう言っていたか……
このミステリーは嘘に塗れている。
嘘を記述して真実に迫るミステリー
尾崎凌駕の手記に確かそうあった。
すべてを燃やし尽くせ!
生首が三つ
の内容は現実と異なっている。そう私は嘘を書いた。
別荘での駐車場で黒服と会ったことを何故書かなかったのか?
嘘を記述して真実に迫るミステリー
嘘が嘘だとわかっている者――真実を知る者にある種の居心地の悪さを突きつける。
――いや、それは嘘だ! 間違いだ!
――真実は……
真実を知る者は居心地の悪さから、そう真実を吐露したくなる。その誘導のために嘘が記述される。
実際に私の書いた嘘に反応して、黒服――黒川さんが私を訪ねて来てくれた。
探偵役の尾崎凌駕が退場してしまった以上、代わりの探偵――若しくは真実を知る者が必要なのだ。
嘘を嘘だと指摘してくれる神の代理が必要なのだ。
始めた以上、終わらせないといけない。
強引に終わらせれば、アンチ・ミステリーになってしまう。
本格ミステリーとして終わらせるには……
嘘を記述して真実に迫る――
そうするしかないのだ。
藤沢=首猛夫=SEの佐藤を私が認めたのだ。
黒川さんの指摘で認めざるを得なくなったのだ。
私も嘘を正して真実を語ることにするしかあるまい。




