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求めよ、さらば与えられん  作者: 尾崎諒馬
あやしうこそものぐるほしけれ――そろそろ事件について語ろう……
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医療センター地下でのBMI実験

 ※とあるミステリーの真相について触れています。未読の方は先に進まないでください。 

 


   医療センター地下でのBMI実験

   

 四万本の電極との格闘――それが、私の仕事だった。

 脳髄に四万本の電極を打ち込まれた彼――地下送りになった彼は既に見た目は人間ではなかった。ICUベッドに赤茶けた爛れた肉体の胴体が横たわり、生命維持装置とコードやらチューブやらで繋がれた――それが彼だった。

 首――というか、頭には大きなバケツのような金属製の円筒が被せられ、そこに四万チャンネル分のコネクタが設置されていた。そのコネクタとコンピューターを繋ぐインターフェイスの設計が最初の私の仕事だった。

 まったく手探りだった。

 脳外科医にそのコネクタの仕様を訊いたのだが、わからない、とはねつけられた。脳外科医はただ脳髄に四万本の電極を刺しただけで、どれが入力でどれが出力なのか? それすらもわからないとのことだった。

 とりあえず、64チャンネルのデーターロガーとシグナルジェネレーターを作成し、四万の中から適当にチャンネルを選択し、双方を接続した。

 そうして、適当なシグナルを入力して得られる信号を解析することから始めたが、正直とっかかりは何もなかった。

 

 ――皆目わからない……

 

 それが正直なところだが、結局それがよかったのかもしれない。

 信号のやり取りの意味を理解するのは人間には無理と考え、それらをすべて機械学習によるコンピューター解析に頼ることにしたのだ。AI技術は二十年で凄まじく進歩し、私としてはただ、データーロガーとシグナルジェネレーターのチャンネル数を64から徐々に倍々に増やしていっただけなのだが、ついには彼――バケツの花嫁――いや、花嫁は違うな――とにかく、脳髄に電極を突き刺された生ける屍の彼と意思の疎通が図れるようになったのである。

 

 その意思の疎通の様子は、そのミステリーの冒頭を読めばわかる。

 

 その冒頭で私は精神科の主治医と名乗っているが、実際はただのSEで――それはそのミステリーを最後まで読めばわかる。

 

 そのミステリー……

 

 いや、アンチ・ミステリーか……

 


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