第48話 骸骨さん、それはダメなやつ!
それから半時間あまり、骸骨さんが過去にあった事を話してくれた。
ただし俺がスライムだったこと、俺と骸骨さんの魔力融合で今の俺の…厳密に言えば一度世界樹の神様に作り直して貰っているから前の体が出来ていることは内緒のままにしてくれている。
「その剣の勇者と魔法の勇者のスキルは、セラドリックさんが出ている間もクレストさんは使えるの?」
一通り骸骨さんの話が終わり、エマさんが俺にそう聞いてくる。
『ステータス オープン』なんて叫ばなくても頭の中にステータス画面を表示出来るのは、実は勇者のスキルなのかも。
その画面の中で幾つかグレーアウト表示になっているのは、骸骨さんが出ていると使えない項目なのだろう。
「剣術は使えるけど、格闘(極)は使えないのか…今は(特)レベルだね。
あ…骸骨さん居ないとテイムも使えないのか。
武器も剣だけになってるけど、槍とか使わないから関係ないか」
「魔法は魔法の勇者のレベルよね?」
「うん、全属性適応は残ってる。
浄化とか水が使えれば…でもアルジェンが居るから俺が魔法使えなくても問題無いのか」
剣の勇者の剣術スキルより骸骨さんの格闘スキルの方が俺には性格的に合っているから、骸骨さんが居ないと時にもし戦闘になったら困惑しそう。
出来ればもう戦闘なんてしたくないんだけど。
アーミンを簡単に召喚出来るようになれば、俺自身が戦う必要は無くなるんだけど、残念ながらそう言う便利機能は無いようだ。
カオリに薔薇の蔦で敵を拘束して貰えるならそれが一番良いけど、普段は窓際でボーとしてて動かないんだよなね。
「さて、俺が話せることは以上だが、今から四人でエッチしてみるか?」
「何の脈絡も無く変なこと言うなよ。どれだけ女好きなんだ?」
「自分を好いてる女が目の前に居て我慢しろって言う方がおかしいだろ?」
「おいおい、彼女達が好いてるのは骸骨さんじゃなくて俺だから」
「遺伝子構造はお前と完全一致だ。つまり俺はお前で、お前はお前だから俺も好かれている」
そんな理屈はおかしいだろ?
そりゃ、俺が骸骨さんだと言われてないだけ救いはあるかも知れないけど、それはまた別の話だ。
「見た目だけじゃ…」
「えぇ、私も拒否します」
「ちっ! ダメか」
「まさか本気でイケると思ってたのか…信じられないし」
エマさん、オリビアさんにダメだと明言されて落ち込む骸骨さんはしばらく放置して反省させよう。
それにしても、何故スライムから俺のコピー人間が生まれるのか。
仮にスライムの細胞が本物の万能細胞だとしても、人体を構成するのはたんぱく質だけじゃなくて鉄分、カルシウム、燐、ケイ素…その他諸々含まれていると思うが、そう言うものがクレールの中にあるのかな?
スライムが、たんぱく質かどうかはこの際何処かに置いておこう。
だってどう見てもゼラチンぽいから、間違いなくたんぱく質だよね…?
「あーっ! パパの中の人が出ているのです!
と言うか、クレールと合体するなんてあり得ないのです!」
遊びに飽きたのか、アルジェン達チビッ子組がミニッチュさんに乗ってやってきた。
恐らくアルジェンは飛んだ方が速いだろうと思われるスピードだが、本人が楽しそうだから敢えてクチには出さない。
「パパの完コピが出来るとは、さすがクレールは超進化スライムなのです。
普通のスライムどころかラルムとピエルでさえ処理能力不足になる筈なのです」
「クレールだから、こんな事ができたのか。
ノラの魔石って凄かったんだな」
「そんなの祟り前歯のクラッカーなのです」
アルジェンの比喩がニッチ過ぎて理解出来ない…勿論俺は分かるけど、エマさん、オリビア、それに骸骨さんもどう言う意味だ?とポカンとしている。
「柔らかい筈のクラッカーを噛んだら前歯が折れるのは、祟りが原因なのです。
それぐらい、あり得ない事をするにはあり得ない理由があるもの、つまり当たり前なのだと言う意味に思って欲しいのです」
「クラッカーを噛んで前歯が折れるなんて、随分ピンポイントな呪いな気がするわょ」
「それなら今夜のパンケーキのひとつを激辛に変えておくのです」
「食べ物を遊びに使ったらダメだからな。それにクラッカーどこ行った?」
相変わらず訳の分からないことをたまに言う子だな。
「中の人は、これからどうするのです?
パパの代わりに冒険者として魔物を狩るのです?」
「このダンジョン内での活動に限るつもりだが」
「あっ、アルジェン、冒険者カード出して」
ひょっとして、骸骨さんが持ってもカードの本人認証が機能するんじゃないか?
「あー…本当に反応しちゃったよ…。
アルジェン、骸骨さんにカード持たせるなよ」
「ん? 何言ってんだよ、俺もお前のアイテムボックス、繋がってんだぜ」
骸骨さんがヒョイと何も無い所から金色のギルドカードを取り出して見せる。
「最初から、こうやりゃ成金スーツなんて着なくて済んだのか…ま、人生何事も経験が大事ってやつだ。
あ…と言うかさ、これ、元々は俺のアイテムボックスなんだからな。
クレスト、俺にレンタル料を払うべきじゃないのか?」
しめしめと言った顔で骸骨さんが俺に手のひらを差し出す。
「いや、骸骨さんにはかなり迷惑掛けてもらってるから、それでチャラだろ」
「おいおい、その分はきっちり助けてやってんだろ。
俺が居なかったら、お前、キリアスで三回は死んでるぞ」
くっ、そう来たか…特に鋼鉄王は骸骨さん大好きっ子だったから無事に通過出来たようなもんだし…
「あっ! それなら骸骨さん! キリアスに住んだらどうだよ! 鋼鉄王達は骸骨さんの言うことなら何でも聞いてくれるよ!」
そうだよ、すっかり忘れてた。
骸骨さんがキリアスに居れば、鋼鉄王がコンラッドに来る必要も無くなるよねっ!
「言われてみれば、それもそうか…あそこなら女に困らんな。
ラサベラの子供は…うん、ま、何とかなるか」
と、骸骨さんが余計なことを。
話題を振った俺が馬鹿だったのか?
「ラサベラ? 子供って?」
ほら、エマさんが反応しちゃったじゃないか。
どう誤魔化すんだ?
「ラサベラってのは、鋼鉄王の娘だ。
あぁ、その話の前に鋼鉄王と俺の関係を話さないといけないのか…面倒だな、簡単に言えば、昔助けたのが鋼鉄王だ。
それで、娘が産まれたら俺に嫁がせようとしてたんだな。
魔族は寿命が長く、出生率が非常に悪くてな。
クレストの代わりに俺が表に出ていた時に、俺の魔力を感知して鋼鉄王が接触してきたんだよ。
それで、まぁ、クレストには悪いが、俺がラサベラとやったら一発で妊娠しちまってな」
…気まずい…非常に…
「その時はクレストさんじゃなくて、セラドリックさんが…?
でも妊娠って…嫁にしないといけないじゃないのよっ!」
エマさんがそう叫ぶのは仕方ない…が、骸骨さんがエマさんの肩を押さえる。
「魔族には人間の習慣は当てはまらない。
父親が俺であっても好評はしないし、心配するな」
そう言う問題じゃないよね?
俺の体で別の女性とやったことが問題なんだから。
「そうなの? 五人目になる…と言うか、正妻にはならないのね? 絶対ならないのね? 本当に?」
「あぁ、元魔王嘘つかない! 俺を信じろ」
「…逆に嘘臭いんだけど…他の女には手を出してないわよね?
出してたら、もぐわよっ!」
俺の記憶では無い筈だけど、俺が寝てる時に勝手に入れ替わって遊んでたとか無いよね?
「ありませんっ! 天地神明に誓ってありませんっ!
一度クレストが風俗店に行ったのと、あとエマしか抱いてないっ!」
余計なことをばらすなよっ!
はぁ…骸骨さんをキリアスに送ったら、凄い数の子供が出来そうだから、やっぱりダンジョンに居てもらおう。
そう悪い人じゃないけど、まさかこんなにエロい人だったとは。




