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第38話 治療は続く

今のコロナ、結構キツイ症状になるのですね。

今日も短いです。

「ハロハロー、どうしたのです?」


 アイテムボックスからテーブルとお昼セットを取り出したアルジェンがスマホ代わりの小さな水晶を耳に当てる。


「…ほぉ、ママがダンジョンの居住地に到着したのですね!

 思ったより早い到着なのです!」 


 ダンジョン管理者である魔界蟲本体さんからの謎の通信がアルジェンに入る。

 恐らく念話的なスキルでの通信なので、水晶を耳に当てる必要は無いと思われるが、いつもこれをやっているのだ。


『ドランは良い能力を持っておるではないか。

 エマと言うのはマスター・クレストのツガイの茶髪だな?』

「そうなのです!

 パパを独占出来る期間が予想より短かくなりそうで、実は焦っているのは内緒なのです」

『内緒なら我にも伝えるべきではないのだが』


 アーミンには人間の心の機微など興味のないことを知った上で、そんな話題を振っているのだ。


『それなら我が迎えに行ってやろう。

 徒歩で来たのでは、一人森の中で夜営することになるだろうからな』

「それが良いのです!」


 パンケーキをクチに咥え、ごくりと飲み込むとそれから一人前をあっという間に平らげる。

 アーミンはオコジョモードで食べた方が美味しく感じられるとのことで、最近ドラゴンモードでは食べないように決めているのだ。


 そりゃ…人間用に作った料理をデカくなった状態で食っても、味が拡散してそんなに美味しい訳がない。


 昼食を終えたアルジェンがアーミンに例の黒い籠を持たせて離陸する。

 本当はクレストから離れたくないのだが、今は世界樹に治療を任せているのでやる事がないのだ。


 エマが居れば一緒に遊んで貰える筈だが、果たして仮死状態のクレストがそばに居て楽しく遊べるかは疑問である。

 何故魔界蟲本体さんがクレストの身代わりとしてダンジョン管理者になったのか、実はアルジェンにもまだ分かったいない。


 元はラビィの捨て身の攻撃で倒された魔界蟲であるが、ラビィの放った魔力をコアが吸収したことで死滅を免れ、その後はクレストのアイテムボックスで暫く暮らすことになる。


 その間に、人間と言う生き物を好きになったのかも知れないし、単に興味本位か、それともダンジョンの魔力が目当てなのか。

 本来は生存本能しか持たない筈の魔界蟲から、アルジェンのような感情豊かな分身が生まれるなど、恐らく神ですら想像し得なかったであろう。


 クレストの中で暮らしているうちにクレストの遺伝子情報を解析し、記憶領域にまでアクセスした本体さんである。

 もしやる気になれば、クレストそっくりさんを作り出すことも不可能ではないかも知れないが、ベースとなる万能細胞が見つからず、百パーセント魔力で出来たアルジェンを産み出した。


 アルジェンはダンジョン管理者としてその場に留まり続けなければならない自分の代わりに、雑用を行う為の存在となる筈であった。

 だがアルジェンに感情を持たせた結果、本体さんとの思惑が外れてクレストと共に行動することになったのだ。


 その代わりとしてクレストの一部だったスライムを譲り受け、様々な場所に派遣してダンジョン内のトラブルシューティングを行っている。

 魔界蟲の残骸を与えられたことで、スライムとしてはあり得ない基礎能力を見せるのはクレールもラルム、ピエルと同じである。


 しかも不死の王を自称するバンパイアの本体まで取り込んだのだから、クレールはラルム、ピエルを軽く凌駕する能力を持つ。


《今回はクレールの治療能力もフルに活用してみるか》


 スライムベッドと化しただけでなく、生命維持装置のような能力まで披露することになったクレールである。

 元がクレストから分離して生まれた存在なので、クレストとの遺伝子レベルでの相性は抜群に良い筈である。


《しかし、神使いの荒いやつじゃ

 次に儂が生まれる世界は魔法もなく、魔物もおらぬ平和な世界を希望するとするか…》


 そんな一人言を呟きながら、世界樹の中に暮らす神がクレストの修復作業を続ける。

 世界樹の神…個体名を敢えて言えば『フラクヌス』と呼ばれる存在である神の手から、人類では扱うことは出来ぬ神の文字が光となってクレストに降り注ぐ。


 すると、先に世界樹の葉で頭だけ出した蓑虫状態になっていたクレストの顔が、ほんの僅かだが生気を帯び始める。


《あやつらはクレストを助けることで必死だったが、お主が消えぬかと心配はしておらぬのかの?》


 フラクヌスがそう問い掛けたのは、クレストの中の人…生前は魔王の称号を得ていたセラドリックである。


『俺の心配なんかしなくて良いさ。

 どうせ一度は死んでる身だからな…それを言えばクレストもか』


 体があれば間違いなく腕を組んでいたであろうセラドが、心の中でクレスト自分も含めて何回死んだのか数えようとして諦める。


『なぁ、同じ人間の魂がこの世界と地球とを何度も行きにするのって、普通にあることか?』


 クレストの体から魔粒子となって透明なエクトプラズムかゴーストのような姿を披露するセラドだ。


『輪廻転生をクレストのように繰り返す者はおらぬよ。

 転生管理局の暇神が何かのイベントでも開かん限り、それだけクレストに肩入れする理由は無いと思うがの』


 同じ人間の魂を使い回しして輪廻を繰り返させるのは、神と言えども管理が面倒なのである。

 神から見れば、勝手にいくらでも増える人間などその辺の猿と同じ生命体であり、取り立てて贔屓する理由など無い。


 人間が猿と決定的に違うのは知恵を持つと言うことである。

 その知恵故見ていて飽きない存在なので、転生神は気紛れに地球から魂を引っ張って転生させているのだ。


 その転生時の演出は神それぞれらしく、当たりハズレがあるのだが、神をチェンジすることなど不可能である。


 少々解説じみた話になってしまったが、クレストは神々にとっても特別な存在なのだと理解して貰えれば良い。

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