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〜プロローグ〜

初めまして!作者の毛だるまです。

初投稿なので変な箇所が多数見付かるかも

しれませんが、子犬をなだめるような

心構えでお手柔らかにお願いします。


来て下さり、誠にありがとうございます!!

 暗がりの部屋にポォーっといくつもの光が点在しており、その光からポコポコ気泡が湧き立つ音が鳴り響いている。わずかな薄明かりに照らされた二人の人間が、向き合って話しを始めた。


「少し前に折り入って話した件についてだが、覚えているかなルイくん」


ちょっとばかししゃがれた声だが、芯の通ったはっきりとした調子で老人が尋ねる。


「はい、ルフェーブル所長」


険しい面持ちでルイはその問いに答える。

ルフェーブルの口角がかすかに上がった。ルイは唾を控えめに飲み込む。


「不老不死の試薬品がついに完成したんだよ。研究に研究を重ねてついにだ。そのかんに多くの犠牲も払ったがな」


不気味に光る様々な調合中のシリンダーを見て回りながらルフェーブルは言った。ここは許された者だけが入室できるルフェーブルの実験部屋だ。そしてこの施設は国立科学研究所と呼ばれる都市部最大の研究機関となっている。そのルフェーブルの実験に携わっている唯一の人物がルイである。それにも理由があるのだが。


「それでは、あの話しも現実味を帯びているということですね」


すると、その言葉を遮るようにルフェーブルの大声がルイの耳をつんざく。


「野暮なことを聞くでない。その前提で事を進めておっただろ。今さら反故ほごにはできんぞ?」


ピリつく空気の中ルイはうなだれるように肩を落とし、1つ1つ言葉を紡ぎ始める。


「では、妻のアデールを検体材料として連れてきます。日時、場所の指定をお願いします」


淡々とした口調で話すルイ。込み上げるものを歯を食いしばることで押し殺す。最愛の妻を得体の知れない試薬品の実験材料にされるのだ。正気の沙汰でいられるはずがない。

ルイの心証の悪さに気付いたルフェーブルはどことなく哀愁が入り混じった顔付きになった。


「大丈夫だ、ルイくん。この実験は必ず成功するしアデールの無事も保証しよう。そして君の娘のことも決して見捨てたりはしない。約束するよ」


なだめるようにルフェーブルは言う。その言葉を信じていいのか伺うような素振りを見せながら「分かりました」と頭を軽く下げるルイ。


「1つだけいいですか?」

ルフェーブルの顔を直視してすかさず言った。

「あぁ構わんよ」と目を細めながらルフェーブルは返した。


「なぜ、僕の妻なのですか?」

その質問に一瞬目を見開いたルフェーブルだったが、仄暗い天井をしばらく見上げてすぐにルイへと目線を戻す。


「私の妻と歳が同じで容姿もどことなく似ているんだ。だから、妙に親近感がわいてね。老いぼれの戯言と思ってくれたらいい」


初めてみせるルフェーブルのおぼろげな表情にルイは放つ言葉を見失った。ルフェーブルの口から彼自身の妻の話しを一切聞いたことがなかったからだ。不老不死の薬の安全性を人の妻で試して、後で自分の妻に試すつもりか?それとも僕とその家族がただただ幸せになるのを援助しているのか?アデールが不老不死になって、一体なんのメリットがあるのか?

色んな思考が脳内を駆け巡って、ルイは無性に頭をかきむしりたくなった。


「深い事情は聞きません。ただ、僕の家族にもしものことがないように慎重にお願いしますよ」


これ以上、押し問答が続くのは避けたいとの思いから諦めに近い心境で、言葉を返した。

ルフェーブルの顔に笑顔が灯る。


「もちろんだ。念に念を押すようだが約束しよう」


ヤキモキした気持ちが完全に晴れたわけではなかったが、とりあえずここは一旦引き下がろうとルイは会釈してきびすを返そうとした。


「あぁ、ちょっと待ってルイくん」


そういうと、ゴソゴソと白衣の内ポケットから小さめに包装された何かを取り出した。それを見たルイは再び、ルフェーブルに歩み寄った。


「娘さんの薬だ。今月末までの分量だったな。今この場で渡しておくよ」


差し出された個包装を右手で受け取るルイ。


「いつもお世話になっています。おかげさまで、娘が元気に暮らすことができている」


ルフェーブルから受け取った薬をカバンに詰め、礼を言う。ルフェーブルは「それぐらい何でもない」と鼻を鳴らして答える。



 ルイが立ち去ろうとした時、「来週の土曜日20時、大聖堂だ」と後ろからやや大きめの声が聞こえてきた。


「君の妻アデールを連れてくる日時と場所だ。時間厳守で頼むよ」


口早にそう告げるルフェーブルを一瞥し、「はい、少しの間お待ち下さい」とだけ言ってルイは部屋をあとにした。


「フフフッ……」

ルイが去り、静まり返った研究室にルフェーブルのせせら笑いがこだまする。


「ようやく止まっていた時が動き出す。ミラ、もうすぐだからな」


白衣の襟元をめくると自らの首に色濃く刻まれている裂傷の跡が出てきた。その患部を優しくなでるルフェーブル。そしてすぐさま研究室奥の書斎室へと足を進め、部屋へと閉じこもった。



薄暗い研究室にポコポコ気泡が湧き立つ音だけが鳴り響いている。






ご拝読ありがとうございました!

最後まで目を通してくれた全ての人たちに

感謝です。そして、僕は感涙です。

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