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Fortune-teller2  作者: marimo
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新たな仕事

 東条さんと一緒にテレビ局に行った。打ち合わせで呼ばれたらしく、

「私まで連れて行かなくても」と言ったけれど、

「そばについていた方がいいと思う。何事も勉強」

「そう?」テレビの番組には懲りている。軽い思い付きで、私に出てほしかった、そう言うのを目の当たりにした後なので、スタッフに対して、いい印象を持っていない。

「こういうのもいい勉強になるさ」

「そうかなあ」

「前のことを警戒しているのか?」

「当たり前でしょ」

「あれが普通だ」どこが普通なんだか。

「持ちつ持たれつ」意味不明なことを言われてしまった。


 打ち合わせは軽い感じで行われた。雑談している感じでありながら、

「ここはこうしたほうが良くないですか?」

「まあ、事情があるからねえ、そこはよろしく」と簡単に言っている。あの時のスタッフと大差はないように思えた。打ち合わせを終えた後、東条さんが紙を見せてくれた。

「深夜番組なんだ?」

「そう」

「私で大丈夫かな?」

「撮りは深夜じゃないよ」と東条さんが笑った。

「とり?」

「そう、録画だからね。収録はもっと早い時間だ」

「ふーん」

「俺はワンコーナーを担当する予定」

「どんなコーナー?」

「ゲストを占うだけ」

「ゲストって?」

「そこは来てからのお楽しみってやつらしい」

「それで対応できるの?」

「何とかなるだろう」

「ふーん。有名人は出るの?」

「紙に書いてあるだろ」と言われてみたけれど、深夜番組で、聞いたことのない名前の人がずらっと並んでいる。知っているのは司会者とコメンテーターの一人だけだった。

「友達に自慢になりそうもないかも」

「口に出すな。そういうことはここを出てからだ。絶対に口に出してはいけない」

「え?」

「そう言うことが耳に入ったら、困る立場になるのは俺たちなんだよ」

「え?」

「機嫌を損ねるとややこしい出演者もいるんだよ。だから、対応は丁寧に。言葉遣いも丁寧にしろ」

「はあ、なるほど」

「小難しい人もいるからね。ただ、そう言う人のほうが露骨なんだけどな」と笑った。 

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