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Fortune-teller2  作者: marimo
45/68

言える範囲1

収録が始まった。今日も2回収録だった。一回目の収録は、この間の合コン大好きなアイドル。球磨谷あやさんは、東条さんに愛想笑いをしていて、スタッフにも愛想を振りまいていた。収録の合間の休憩のときに、飲み物を飲んでいたら、近くでひそひそ話が聞こえた。

「あの子、また、不倫だってね」

「またなんだ? 人の男を取るのが趣味って、本当みたいね。例の格闘家のところ、離婚寸前だって。その前、テレビスタッフと遊んでたんだってさ。さすがに相手の男の奥さんとは、色々あったみたいよ」

「モデルの子と殴り合いのけんかしたって話も聞いたよ。その子の彼氏にちょっかい出したらしくて、言い返したんじゃないかって」うーん。

「あの笑顔で騙せると思い込んでいるところがすごいよね。もう、だませないよ。あの子、業界で評判、最悪だもの。この間なんかさ、シー」と言い合った後、行ってしまった。

「えー、あの女も出ていたの?」と言う声が聞こえて、そちらを見た。

「嫌よ。あんな女の後なんて」と球磨谷あやさんが怒っている。マネージャーさんが苦笑いをしていた。

「チグミと同じなんて、そんな扱いは嫌」と怒っている。そばにはスタッフがいないからか、明らかにごきげんが悪そうで、

「格下の女の後では嫌よ。もっと、ほら、いないの? 野球選手とか、サッカー、テニスでもいいわ。柔道は嫌よ。カッコいい人が少ないから」すごいことを言っている。

「お金がある人が良いわ。背が高くて、筋肉の付き具合がいい人が好みなのに」

「あとで確かめておくから」とマネージャーさんがなだめている。でも、口調はどうでも良さそうで、

「なんでチグミと同列に扱われなくてはいけないのよ。ねえ、もっと後に順番を変えて」

「いや、もう、収録した後だしね」

「彼女の後にして」

「彼女って?」

「さっきいたじゃない。あの女も、今日、収録なんでしょ?」

「ん、そうみたいだね」

「あの子の後にしてよ」

「あの子って、向こうのほうが年上だよ。芸歴も長いし」

「そんなのどうでもいいじゃない。ね、そうして?」にっこり笑って、マネージャーに微笑みかけている。ただ、マネージャーは、

「まあ、言っては見るけどさあ。駄目だと思うよ」と言いながら、どこかに行ってしまった。


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