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Fortune-teller2  作者: marimo
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炎上タレント1

 東条さんと一緒にテレビ局に行き、スタッフさんたちが浮足立っていた。

「確実だよな」

「それはそうだよ。あの女」

「おい、シ―」なんて言い合っている。

「なんだろう?」と思わず声が出た。東条さんは無言だった。

 楽屋代わりの会議室で待たされていた。

「遅いね」と言ったけれど、もう一人、3,40代の女性が一緒に待っていて、化粧を念入りに行っている。東条さんは無言で何かを調べていて、やがて、一緒の部屋にいた人が行ってしまってから、

「今日は、発言しないように」と注意を受けた。

「なんで?」

「本当は、もっと後に出てもらう予定だったゲストが、急にこの時期に出ることになったから」

「え?」

「コーナーとして盛り上がりに欠けるからと、話題性のあるゲストを呼んで、視聴率を上げようって言う、取り組みだから」

「はあ、なるほど。え、盛り上がってないの?」

「今はその話はできない。あとで」と言われて、

「ごめん」と謝った。

「『すみません』と言えと言っているだろう。ここは仕事場だ」強めの口調で言われて、

「すみませんでした」と言いなおした。仕事で一緒に来ているので、言葉遣いは重要らしい。やがて、さっきの人が戻ってきて、

「ねえ、あの女が一緒に出るみたいよ。知ってる?」と嬉しそうに話しかけてきた。

「あの女?」誰のことかわからなくて、聞き返したけれど、東条さんは淡々と、

「そのようですね」とだけ答えていた。

「すごいわよねえ」と何か言いたそうで、東条さんは調べ物を続けていた。構わず、相手の女性が話を続けていた。

「お騒がせタレント」「子供をだしに使って」とかそう言う言葉が何度も出てきた。

「それで、あれでしょう? 落ち目になったから、慌てて、この番組でイメージ回復しようとしてるんじゃないかって。私の周りの、あの人の事、嫌いな人が多いのよねえ」とベラベラと話していて、東条さんは相槌すら打っていなかった。それでも話したくてしょうがないらしくて、

「あの女」「どうしようもない」「あれで母親なんだから」とばかり言っている。わたしは、誰の事か知らないので、東条さんを見たけれど、東条さんは気づいてもいない感じだった。

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