5章 マニュアル
今回は、少し短めです。
「ショウ喜べ、マニュアルを全部読み終わったのじゃ」
ショウが、探検(大失敗)から帰ってきてから約一時間後、ペルセポネがショウにマニュアルを読み終わった事を伝えた。
「本当か! 取り敢えず、今の俺達に必要な情報を教えてくれ」
ショウは今後この世界で生きていくために必要な情報をペルセポネに聞く。
「うむ、では今妾達が居るこの部屋について説明するのじゃ」
「はい! よろしくお願いします!」
ショウはペルセポネに対して、野球部並の声量、営業マン顔負けのお辞儀(九十度)を披露する。
「うむ、まず妾達が居るこの部屋は”迷宮”の一部じゃ」
「迷宮?」
ショウはペルセポネの説明にピンと来ないようでオウムになる。
「うむ、迷宮とは、お主の様な転生者や一部の悪魔の家の様なものじゃ」
「つまり、この迷宮は他にも沢山あるってことか?」
「うむ、そこらじゅうに大量にあると言う訳ではないがのう」
「そして、迷宮一つにつき一人迷宮主が存在する」
「それが、俺か?」
ショウは自分の顔を指差しながら、ペルセポネに尋ねる。
「そうじゃ、この迷宮の主はお主じゃ」
「そして、迷宮主は常に危険と隣り合わせじゃ」
ペルセポネはショウに対して真面目な顔で話し始めた。
「良いかショウよ、お主ら転生者はこの世界では、異界人と呼ばれる、異界人と言うのは、この世界の人間と同じ扱いを受ける、ただ一つの例外を除けばの話しじゃがのう」
今、ショウの頭には一つの最悪な予想が浮かぶ。
「それは、迷宮主だった場合じゃ」
「め、迷宮主だったらどうなるんだ……」
「魔物、悪魔の様な有害な生物とみなされ殺される」
「マ、マジかよ……」
ショウの最悪の予想が的中する。
「でも、何で迷宮主だと殺されるんだ?」
「うむ、理由は二つある」
そう言うとペルセポネは、右手の指を二本立てる。
ショウは今後の自分の生活に関わる大切な事の為真剣にペルセポネの話を聞く。
「一つ目の理由は、迷宮が人間にとって、有害だからじゃ」
「二つ目の理由は、迷宮主を倒した時に入手することが出来るギフト目的じゃ」
ショウは、ペルセポネの説明に聞き慣れない言葉があった為、ペルセポネに質問をする。
「ペルセポネ、”ギフト”ってなんだ?」
「うむ、ギフトについて説明するには、ショウは知って置かなければならない事があるからいくつか説明をするぞ」
「まず、”生物”と”魔物”の違いからじゃ」
そう言うとペルセポネは説明をはじめる。
「生物とは、命を宿したものの総称じゃ、対して魔物は、コアと呼ばれる魔力結晶を持ったものの総称じゃ」
「どうじゃ、ショウよここまでついて来れているかのう?」
「……おう!」
ショウは、一拍置いて威勢のいい返事をペルセポネに返す。
果たして、その言葉が意味する事は……
「うむ、しっかりと、理解しておらんようじゃな!」
──全く全然これっぽっちも理解していなかった。
「う〜む、どう説明したら良いのかのう」
その時、ペルセポネは生物と魔物のわかりやすい区別の仕方を思い出した。
「魔力を持たないものが生物、魔力を持つものが魔物これなら、お主も分かりやすいのではないかのう」
「ああ、それと、もう一つ」
ペルセポネは補足をはじめる。
「生物だが、魔力を持つ種族も存在するぞ、その種族が、人間種、亜人種じゃ」
覚える事が増えたショウは、頭の中で情報を整理する。
「えーと……に、人間種? あ、亜人種?」
ショウは、ペルセポネに人間種、亜人種の説明を求める。
「うむ、まず人間種とは、その名のとおり人間のことじゃ、ちなみに自身の体の約七十五%以上が人間であれば人間種とみなされるのじゃ」
ショウはペルセポネの説明を忘れないために、ペルセポネの説明を反芻する。
「人間=人間種、体の約七十五%以上が人間だった場合人間とみなされる」
「うむ、正解じゃ」
「では、次に亜人種の説明をするぞ、亜人種とは、人間とほぼ同じ姿の種族の事じゃ、代表的なのが、吸血鬼、鬼人、獣人、魔人、エルフ、龍人、竜人などじゃ」
ショウは、学生が授業中、教師に質問をする時の様に手を真っ直ぐに上げる。
「はい、ペルセポネ先生、竜人と、龍人ってどう違うんですか?」
「むむ、ユキムラ君、いい質問なのじゃ、この世界では、竜とは、ドラゴンを意味する言葉で、龍は地球で中国や日本などで有名な蛇の様な姿をしたあの龍を意味する言葉じゃ」
ペルセポネは、人間種、亜人種の説明を一通り終えると、次の説明に移る。
「では、生物と魔物の違いがわかったところで次はギフトについての説明を始めるぞ心して聞くのじゃ」
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