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14章 魔力


 「はぁはぁ、クソ、結局捕まえられ無かった……」

 

 

 「ハッハッハ、妾を捕まえると息巻いていたのにどうしたのじゃ」

 

 

 ペルセポネは、ショウから約二十分の鬼ごっこに圧勝。走り続けたショウは肩で息をする。

 

 

 「はぁはぁ、アレ? て言うか俺達何で走ってたんだっけ?」

 

 

 「妾がお主の事を煽ったんじゃよ」

 

 

 「ああ、そういえばそうだったな……なんかもう如何でもいいや。ペルセポネ、魔法教えてくれ」

 

 

 二人は結局何事も無かったかのように魔法の練習へと戻る。今までの二十分とショウのスタミナが無駄になっただけであった。

 

 

 「じゃあ、まずは自分自身の魔力を感知する事から始めるぞ」

 

 

 そう言うとペルセポネはショウに一つの錠剤を渡す。

 

 

 「何これ?」

 

 

 「大丈夫じゃ。取り敢えず飲め」

 

 

 ペルセポネはショウに向けてとても怪しい笑みを浮かべる。余りの怪しさに危ないクスリを勧められていると錯覚する程であった。

 

 

 「いや〜、チョット遠慮するよ」

 

 

 「遠慮せずに受け取れ! いや、飲み込め!」

 

 

 ショウとペルセポネは、遂に掴み合いの一悶着が起こる。ショウはペルセポネの両手首を掴み、ペルセポネの手にあるクスリを少しでも口から遠ざけようとする。

 

 しかし、ショウとペルセポネの筋力差は百八十倍、勿論ペルセポネの方が筋力が高い。その為ショウの抵抗虚しくショウの口にクスリが入る。しかも、勢い余ってクスリと一緒にペルセポネ指も口に入った為、ショウは軽く嘔吐く。


 

 「ぐえぇ」

 

 

 「吐くんじゃないぞ! もし吐いたら二つ目のクスリを天界に取りに行かなければ成らないんじゃからな!」

 

 

 そう言いながらペルセポネは、何処からともなくコップを取りだし、水属性魔法を使う。

 

 

 「【クリエイション・ウォーター】」

 

 

 ペルセポネが魔法名を唱えると水色の魔法陣が出現し、魔法陣の中心からキレイな水が生成されコップを満たす。

 

 

 「ほれ、これでクスリを流し込め!」

 

 

 ペルセポネの言葉に意を決してコップを手に取り水と共にクスリを流し込む。

 

 (ああ、もう駄目だ……俺は道を外してしまった。ごめんなさい、お父さん、お母さん、あとついでに黒山羊さん、白羊さん……)

 

 ショウが両親と女神二人に懺悔をする。しかしそれは全く意味の無い事であった。

 

 何故ならば──

 

 

 「ショウ、お主このクスリに対して何か勘違いをしているな? このクスリは別にヤバイモノでは無いぞ」

 

 

 「え……だ、だったら一体なんなんだよ」

 

 

 「これは、服用者が自分の魔力を感知しやすくなるクスリじゃぞ」

 

 

 ペルセポネの説明を聞きほっと胸を撫で下ろす。それと同時に相手の善意に一方的に怯えていたさっきまでの自分に羞恥する。

 

 

 「なんじゃ、お主もしかしてあのクスリが怖かったのか?」

 

 

 ペルセポネがショウを揶揄(やゆ)する。その顔はまるで新しい玩具を手に入れた子供のような無邪気でどこか残刻さを持った表情()である。

 

 

 「い、いや、そんな事は無い!」

 

 

 そんなペルセポネに対してショウは負けじと食い気味に否定する。

 

 

 「そんな事はどうでも良いだろ。良いから早く魔法の使い方を教えてくれ」

 

 

 ショウは、これ以上ペルセポネに揶揄されないように話題を変える。しかし、話題の変え方が実に下手くそである。これは当分ペルセポネにこのネタをこすらて続けるだろう。

 

 

 「フッ、まぁ、良いじゃろう。まずは目を閉じて息を深く吸い精神を整えるのじゃ」

 

 

 「ああ、わかった」

 

 

 ショウはペルセポネに言われた通りに目を閉じて息を深く吸い精神を整える。

 

 目を閉じた事によって辺りの音などをいつもより敏感に感じ取る。風の音、鳥の地鳴き、草木の揺れる音、風が肌を優しく撫でる感覚、自分自身の息遣いなどをいつも以上に感じる。

 

 

 ショウが瞑想を初めてから五分程経った頃、ショウは自分の体の奥底から小さな温もりを感じ取る。その温もりは時間が経つにつれて大きくなっていく。そしてさらに時間が経つとその温もりはショウの体をグルグルと巡る。

 

 

 「ふむ、どうやら成功のようじゃな。二時間くらいかかると思ったんじゃが、まさか十五分で成功するとは思わなかったな」

 

 

 「え? ペルセポネ、何が成功なんだ?」

 

 

 ショウは言葉の意味を発言者であるペルセポネに聞く。ショウの質問に対してペルセポネは──

 

 

 「お主が自分の魔力を認識出来た、と言う意味じゃ」

 

 

 簡潔に一行で答える。冷静にショウに現状の説明をするペルセポネだが、しかしその反面内心ではとても驚いていた。

 

 

 (確かにショウは魔法の適性が高い、それにクスリも服用していた、だが流石に魔力を認識するのが異常な程早い。もしかしたらショウは転生特典を貰わずとも、元々高い魔法適性があったのか?)

 

 

 ペルセポネがショウの高い魔法適性の事を考察するが、今此処でどんなに考えても答えは出無いので考えるのを止めてショウの近くに行く為に足を動かす。

 

 

 「もう目を開けて良いぞ。お主は無事魔力を認識する事に成功したぞ。早速じゃが次の段階へと進むぞ」

 

 

 ショウはペルセポネの許可が下りたのでそっと目を開ける。十五分間目を閉じていたので視界がボンヤリとする目を擦り目を慣らす。

 

 

 「ペルセポネ、次の段階って何だ?」

 

 

 ショウは次の段階の説明をペルセポネに求める。それに対してペルセポネは笑いながら答える。

 

 

 「うむ、次は魔力の操作の仕方を覚えてもらうぞ」

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