第12章 魔法
「気を取り直して、次は魔法の使い方を説明していくぞ。洞窟の中じゃと狭くて事故に繋がるから取り敢えず外に出るぞ」
ペルセポネは安全に魔法の説明をする為に洞窟の外に歩みを進める。
「なぁ、ペルセポネ、この世界の人は誰でも魔法が使えるのか?」
ショウは洞窟から森への移動中、少しでも魔法の知識を増やすために解説役が板についてきたペルセポネに質問をする。
「いや、魔法は生まれ持った才能が全てじゃ。才能が有れば魔法を使う事ができるが、才能が無ければ使う事ができないのじゃ」
「じゃあ、火、水、風、地、光、闇の六つの属性が使える俺は、天才なのか?」
「いや、お主の場合は神からの転生特典じゃ」
ペルセポネはショウの質問をバッサリと否定する。そんなペルセポネの返答にショウは内心、結構落ち込む。
しかし、ペルセポネはショウに朗報を告げる。
「確かにお主は飛び抜けた才能は無いが、十分強くなる可能性を秘めているぞ」
そんなペルセポネの言葉にショウはさっきとは打って変わって喜びがこみ上げる。まるで感情がジェットコースターの様だ。
「じゃあ、どうしたら俺は強くなれるんだ?」
「バトル漫画の主人公の様なセリフじゃのう。まぁいい、お主は【万能戦術】というスキルを持っているじゃろ」
「ああ確か、『様々な武器をそれなりの技量で扱う事が出来る』ってスキルだろ」
「ああそうじゃ、そのスキルがあれば、魔法だけでは無く、剣、刀、槍、弓、などの様々な武器が使えるじゃろ。様々な武器を使って戦えば相手を混乱される事も出来るからのう」
ペルセポネの言葉を聞いた瞬間ショウは自身の戦闘スタイルを決めた。
「よし、決めた! 俺は様々な武器、魔法を扱う多才な戦闘スタイルを目指す!」
「そうか、器用貧乏にだけは気をつけるのじゃぞ」
そう言うとペルセポネはショウの宣言を右から左へと受け流した。
◇◆◇ 森
「では、魔法の使い方を説明していくぞ、と言いたい所じゃが、まずは【魔力感知】というスキルを使うのじゃ」
「ん? 確か、魔力を可視化出来るスキルだったっけ? でも、なんで【魔力感知】を使うんだ?」
ショウはペルセポネがなぜ【魔力感知】を使用する必要があるのかわからず小首を傾げる。
「魔力と言うものは、血液の様に体中を巡っているのじゃ。だからまず、体中の魔力を感じるのじゃ」
「取り敢えず、妾に【魔力感知】を使うのじゃ」
ショウは、ペルセポネに言われるがまま【魔力感知】をペルセポネに向け発動させる。
「何だこれ……?」
ショウの目にはペルセポネがとても神々しく見えた。
別にショウがペルセポネに対して信仰心を抱いたからでは無い。
では、何故ペルセポネがとても神々しく見えたのかと言うと。ペルセポネが、とても綺麗なオーラを背負っていたからだ。
「それが魔力なのか?」
「うむ、その通りじゃ。お主は今、妾がオーラを背負っているように見えるじゃろ。それが魔力じゃ。では、次妾の事をもっと目を凝らして見てみるのじゃ」
ショウは、言われた通りに目を凝らしてペルセポネの事を見ていると、オーラの一部がペルセポネの右手に集まっていく。
すると、ペルセポネは右手をブラウン管テレビ程の大きさの岩に向ける。
「ん? 何だこれ?」
ペルセポネの前に謎の幾何学模様が現れた。
次の瞬間、ペルセポネの右手に有った魔力は、黒と赤の魔法陣にどんどん吸収されていく。
魔法陣が魔力を吸収し終わるとペルセポネは技名らしき物を口にする。
「【黒天】」
すると、ペルセポネの前に有った魔法陣は、岩の約十メートル上空に移動した。
空中にある魔法陣は、一瞬輝くと中心からビー玉サイズのドス黒い球体を吐き出した。
そのドス黒い球体は、ゆっくりと下降し少しずつ岩へと近づいていく。
そして、岩と球体が接触した瞬間、岩と周囲の地面は跡形も無く融解し消え去った。
「は? どういうことだ……?」
ショウが呆気に取られるのも無理は無い。何故ならば、ショウは温度、光を感じていなかったのだ。気づいたら岩と周囲の地面(直径一メートル程)が消えていた。
「どうじゃ? 魔法を見た気分は」
「訳がわからない……なんで、岩と地面が消えたんだ?」
「溶けたんじゃよ」
「あの黒い球が超高温だったってことか?」
「まぁ、そういうことじゃ」
「はぁ、魔法は何でもありかよ」