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プロローグ 娼年の情事

 初めましての方は初めまして。

 お久しぶりの方はお久しぶりです。


 今回は少し短めの長編を投稿しようと思います。

 お付き合いいただけたら幸いです。


 追記)

 運営さまにR18相当であると判断されちゃいました。

 幻の第一話はR-18版として投稿し直します。

 豪華絢爛(ごうかけんらん)と表現するには、あまりにもセンスが悪い成金趣味な屋敷。

 統一感のない奢侈(しゃし)な調度品は玉石混合で、『洗練された美』なんて概念とはてんで無縁だ。


 その屋敷の一角、主の寝室。

 時間は既に深夜だが、魔石のランプはいまだ消えず、ちょうど薄暗い電球のような色の光を放っている。


 その明かりの下に居るのは、少女とも見紛(みまご)うほどに美しい少年だ。


 ピンクブロンドの髪に、サファイア色の瞳。

 白磁か象牙のような柔肌は美術品のようで……唯一(ほお)に残った傷痕も、彼の美しさを損なうことはできていない。


 その細い首筋を、初老の男がいやらしく撫でる。

 聖職者を自称する大司教は、今宵(こよい)も“聖歌隊”候補の少年を欲望のはけ口にする。


 その愛でる手つきはまるで、最高級の芸術品を、自分のものだと主張するがごとく。あるいは、天使を快楽に(けが)して、手籠(てご)めにせんがばかりで。


 しかし、そんな破戒僧に対し、発情した雌ネコのように(とろ)けた表情で甘える少年。

 その従順な仕草は、大司教の気分ををますます高揚させた。


 薄暗い中、明かりに照らされるキングサイズなベッドの上。

 欲にまみれた大司教が、娼年をさらに(むさぼ)ろうと手を伸ばす――まさにその瞬間、夜の静寂を打ち砕くような爆裂音が空から響いた。


「な、なんだ!?」


 驚いた大司教は窓の外を見やる。すると、何か光の粉がパラパラパラパラ……と音を立てながら落ちていくところだった。


 せっかくのお楽しみが、台無しである。


「だ、誰ですか!? こんな真夜中に花火なんて上げたのは!?」


 せっかくの良いムードをぶち壊しにされて憤慨(ふんがい)する大司教。しかし、彼とは対極に、ベッドの中で目を輝かせる少年。


「わぁ。綺麗ですね。ボク、あれが何か知ってますよ!」

「ん? ミト? 貴方はあれが、誰が打ち上げた花火か知っているのですか?」


 ミトと呼ばれた少年は、まるで穢れを知らない笑顔で微笑む。

 会話は微妙にかみ合ってないが、少年は気にせず大司教の質問に答えた。


「ハイッ! もちろんです! あれはですねー……」


 少年は(はや)る気持ちを押さえつつ、ニコニコと無垢で無邪気な天使の笑みを浮かべた。




「――もう、あんたをぶっ殺していいって合図だよ」




 次の瞬間、少年の笑顔は帰り血にまみれて真っ赤に染まった。


 ただし、笑顔と言ってもその表情は、さっきまでの媚びるような(とろ)けた笑顔とは打って変わって、ひたすらに冷たく、鋭く、そして仄暗(ほのぐら)い笑みだ。


 被っていた純白のシーツも、今は鮮血に染まり――その姿はまるで、赤い頭巾をかぶった少女のようだった。




 R-18版として投稿し直した幻の第一話。

 18歳以上で興味がある方は、ノクターンで『【R-18】娼年赤ずきんは暗殺者』のタイトルで探してみてください。


 ただ、期待するほどエロくはないです。たぶん。


(でも、せっかくのノクターンだし加筆するかも)

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― 新着の感想 ―
[一言] うーん、これはノクターンが本編化の可能性も無きにしも非ず…。個人的にはノクターンにしちゃあさっぱりしてると思いますが…
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