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七十九話 圧倒する配下たち

『キキーッ!』


 レッサーデーモンが敵の下級アンデッドどもに一斉に襲いかかる。

 しかし、その間を縫ってレイスが飛び出してきた。


 凄まじい速度で鎌を振り回すレイスども。

 レッサーデーモンたちが次々に切り刻まれていく


『調子に乗るな!』


『我ら兄弟の力を思い知るがいい!』


 オニイチとオニジが金棒と拳を駆使して、レイスに攻撃を仕掛ける。

 Aランクモンスターの実力に加え、二体の連携攻撃によりレイスたちを圧倒し始める。


 だが、その横からスケルトンどもが急襲する。


「させません! 《円月閃》――!」


 アリサが刀を使い、スキルを発動する。

 オニイチたちに急襲を仕掛けたアンデッドたちが一閃のもとに斬り伏せられる。


【ほう……アリサよ、腕を上げたな】


「ああ、毎日訓練しているだけはある」


 アリサの戦いぶりを見て、感心したかのような声を漏らすシグレ、それに頷くサヤ。


 伯爵の件でアリサの戦いは終わった。

 しかし、彼女はその後も刀の稽古を欠かさなかった。

 いつか何が起きても里の皆を守れるように、そして何より、憧れのサヤに少しでも近づくために……。


『グルっ! 俺たちも負けてらんねーぞ!』


『『『ワオォォォォォ――ン!』』』


 ウルを先頭に、ワングたちも雄叫びを上げながらビーストスケルトンたちに襲いかかる。


 単純な実力であればその戦力は拮抗していただろう。

 しかし、ウルたちには仲間同士の連携力と絆がある。

 オニイチたち同様に、一糸乱れぬ連携力でビーストスケルトンを圧倒していく。


『『『《ファイアーボール》――』』』


 スキルの名を詠唱する声が聞こえる。

 奥を見れば、複数のリッチどもがアリサたちに狙いを定め火の火球魔法を展開させているではないか。


『ガルルルッ! させるか、《エアスラッシュネイル》――ッ!』


 リッチの放った《ファイアーボール》に向け、バーンが翼爪を奮って斬撃を射出する。

 次の瞬間、斬撃は敵の《ファイアーボール》を切り裂き、霧散させた。


「んにゃ! バーンくん、なかなかやるにゃね!」


『ああ、まさか敵の魔法攻撃をスキルで無効化するとは』


 自分たちもいつでも飛び出せるように、ハンマーと剣尾を構えるヴァルカンとダークがやり取りを交わす。


 まさかモンスターであるバーンがそこまで器用な真似をするとは思いもしなかったのだ。

 オニイチたちやウルたちの連携力もそうだが、この迷宮のモンスターは全体的に戦闘技術の水準が高いのかもしれない。


『さぁ、俺たちも楽しむとしよう』


『く……ッ、調子に乗るな、悪魔風情が! 喰らえ、《アイシクルランス》!』


 余裕の表情を見せるグランペイルに、エルダーリッチが激昂した様子で氷属性の中級魔法を発動する。

 凍てつく氷の魔槍がエルダーリッチの頭上に出現し、勢いよくグランペイルに向かって射出される。


『ふんっ、《デモンズフレイム》――!』


 鼻で笑いながら、腕を前に突き出し紫の色の魔法陣を展開するグランペイル。

 魔法陣の中から、同じく紫色の大火球が飛び出した。

 氷の魔槍と火球が衝突し、小規模な爆発を起こす。


『く……ッ』


 襲いかかる熱波を前に、エルダーリッチが呻き声を漏らす。

 しかし、さすがは上級アンデッド、そのまま気圧され終わりはしない。

 再び長杖を頭上に掲げ『《アイシクルニードル》!』と、中級魔法スキルを放つ。

 無数に展開する氷の針が、凄まじい速度でグランペイルに襲いかかる。


『少し厄介だが、慌てるほどでもないな』


 少々落胆した様子で、グランペイルは魔法陣を複数展開する。

 そしてその中から、エルダーリッチと同じく小さな火球を無数に放つ。

 火球は《アイスニードル》を尽く打ち落とし、そのままエルダーリッチに襲いかかる。


『ぐ……ッ、《アイスピラー》ァァァァッッ!』


 気圧された様子を露わにし、エルダーリッチは防御魔法を発動する。

 自身の周りに氷の柱を四本展開し、グランペイルの攻撃を防ぐ……ハズだったのだが――


 ドゴォォォォォォッッ!


 凄まじい音を立て、グランペイルの放った火球は爆発を起こした。

 爆発とともに、その場に紫電が迸る。


 グランペイルが放ったのは、かつてサヤたちを相手取る時に使った、紫電を纏う魔法攻撃だったのだ。


『グガァァァァァァァァ――ッッ!?』


 自身の展開した《アイスピラー》を貫通してきた電撃を喰らい、けたたましい悲鳴を上げるエルダーリッチ。


 好機とばかりに、グランペイルは連続で火球を放ち、圧倒する。

 エルダーリッチはとうとう耐えきれず、長杖を手放しその場に倒れ伏す。


 召喚者が倒れたからだろうか、アリサたちと戦っていたアンデッドたちが、緑色の光の粒子となって消えていくのであった――。

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