六十六話 水着でバーベキュー
「よろしければ、少しみんなで出かけませんか?」
部屋で荷物の整理などを終えたところで、一階へと集まったサヤたちに、フランがそんな提案をする。
「む? どこへ出かけるのだ?」
「昼食の食材の買い込みと、せっかくこの国に来たのですから、海も堪能してもらいたいと思いまして、水着も買うのはいかがでしょう?」
サヤの質問に、そんな風に答えるフラン。
彼女の膝の上では、安心した様子でダークが丸くなっている。
「水着!」
「あら、素敵ね♪」
フランの提案に、さっそく食いつくアリサとマリナ。
シグレは【肌を晒すのか、しかしサヤにワシの魅力を教えてやると考えればアリじゃな……】などと、ぶつぶつ呟いている。
ヴァルカンも賛成のようだし、サヤも断る理由もない。
親睦も深めるために、皆で買い出しに出かけるのであった。
◆
数時間後、フランの屋敷の裏庭にて――
「サ、サヤさま、いかがですか?」
恥ずかしそうにサヤの前に出るアリサ。
彼女の美しくも、ほどよくむっちりした体を、白のビキニが包んでいる。
太陽の光がさし、彼女の白い肌を眩しく演出する。
【サヤ、ワシの水着姿も見るのじゃ!】
アリサの後ろから、今度はシグレが現れた。
彼女はアリサとは対照的に黒のビキニを着ている。
アリサよりも少々露出が多く、なんとも悩ましい雰囲気を放っている。
「ああ、二人ともよく似合っていると思うぞ」
可愛らしくも大胆なアリサとシグレを前に、サヤは素直に感想を述べる。
サヤの言葉を聞き、二人の少女は幸せそうな表情を浮かべる。
「旦那さま、私はどうかしらぁ?」
そんなセリフとともに、今度は屋敷の中からマリナが現れた。
彼女の水着はアリサと同じく純白だ。
しかし、彼女が着ているのはアリサよりもさらに大胆なスリングショットタイプの水着だ。
魅惑的な大人のボディをここまでかと妖艶に演出され、危うくサヤのダークがグランペイルしそうになってしまう。
「うふふ……っ、気に入ってくれたみたいね♡」
サヤの反応に満足げな声を漏らしながら、魅惑のボディを密着させるマリナ。
「ふむ、素晴らしい」
マリナのサービスに、サヤは素直な感想を漏らすと、こちらも満足げに頷く。
【ぐぬぬぬ! せっかく大胆な水着を選んだというのに……!】
「お母さまに全部持ってかれましたっ!」
シグレとアリサは、悔しげに歯軋りするのであった。
「んにゃ〜、相変わらずサヤくんはモテモテにゃん!」
「さすがはダークが私以外に主人と認めた人物、人望が厚いのですね」
屋敷の中から、そんな感想を漏らしながら出てくるヴァルカンとフラン。
ヴァルカンはライトイエローのビキニを着ている。
小麦肌が太陽の光を浴びて、セクシーかつ健康的に光る。
そしてフランが着ているのは紫のビキニだ。
シグレが着ているのと同じくらい面積が狭く。
よく鍛えられプロポーションの取れた体と、白い肌がなんとも眩しい。
互いの水着の感想を言い合いながら、皆は裏庭で昼食の準備に取り掛かる。
今日は裏庭からビーチを眺めてバーベキューだ。
もちろん、水着に着替えているので、そのままビーチに出て遊ぶことができる。
街で買ってきたバーベキューセットを用意し、串に刺した食材を皆で協力して手際良く焼いていく。
その横ではダークとグランペイルが、相変わらずといった様子で、取っ組み合いという名のじゃれつき合いをしている。
「サヤ、焼けたので食べてください、お酒もあるので遠慮なく言ってくださいね」
そう言って、焼けた串肉を差し出しながら、サヤの隣に座るフラン。
【な、なんか……】
「フランさん、サヤさまとの距離が近くありませんか……?」
肩と肩が触れるような距離でサヤの隣に座るフランに、シグレとアリサが少々の危機感を覚える。
『ほぅ……これはご主人、まさかの展開か?』
「にゅふふ……面白そうなことになりそうにゃ」
向かいの席で、ダークとヴァルカンがニヤニヤと笑いながら、こっそりとそんなやり取りを交わす。
「あらあら、まぁまぁ……♪」
フランとは反対側のサヤの隣の席で、興味深そうな、それでいて余裕そうな笑みを浮かべるマリナ。
皆の反応に、サヤは「…………??」と首を傾げるも、とりあえず肉を楽しもうと、串肉にかぶりつくのであった。