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妖刀に魅入られしスケルトン 〜迷宮を支配し、無敵の軍勢を率いる《最強》の剣魔王〜  作者: 銀翼のぞみ
二章

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六十二話 出航

 翌朝――


「ほう、これが客船というものか」


 港にて、大きな客船を見上げながら、サヤが声を漏らす。


「ふぁ〜、人族はこんなにも立派なものをつくって、海を渡るのですね……」


「なんだかちょっと不安だわ……」


 アリサが船を見て感心した声を漏らし、マリナは波打つ海面を見て少々怯えた様子をみせる。


「大丈夫にゃん、船は滅多なことで沈むことはないにゃ!」


 不安そうにするマリナに、ヴァルカンは、にゃはは! と笑ってみせる。


 出発時間が近づいてきたところで、サヤたちはみんな揃って船に乗り込む。


 船の中は洒落た造りになっている。

 少々お高めの部屋のチケットを買ったおかげで、各部屋も広々と過ごせる快適空間が広がっていた。


 もちろん、今回はダークの主人に会う目的の他に、サヤとマリナの新婚旅行を兼ねているので、サヤとマリナは二人部屋だ。


 これから一週間の船旅を経て、常夏の島国、ナツイロ王国へとたどり着く予定である。


「マリナ、甲板に行って景色を楽しむとしよう」


「あら、素敵ね、旦那さま♪」


 荷物を適当に整理し、落ち着いたところで、サヤとマリナは甲板へと向かう。

 腕を組み、船内を優雅に歩く絶世の美男美女エルフを見て、他の乗客たちが感嘆の声を漏らす場面などもあったが、当のサヤは露知らずだ。


 そんなサヤの様子に苦笑しながらも、マリナはこんなにも美しく強い殿方に命を救ってもらい、その伴侶となれたんだ……と改めて感謝の念を抱く。


「まぁ、本当に綺麗ね……」


 サヤの手を握りながら、甲板から景色を見渡すマリナ。

 青色の空と海がどこまでも広がるその様は、誰もが心奪われてしまうであろう。


 そんなタイミングで、船は汽笛を鳴らし、港を出航する。

 港で遊んでいた子どもたちや、漁師たちが船に向かって手を振っている。


 さぁ、新たな旅の幕開けだ――。


 ◆


 その日の昼――


「まぁ、お魚ってこんなに美味しいのね」


 船に設けられたレストランにて、白身魚のムニエルを上品に口に運ぶと、マリナが瞳を輝かせる。

 森の奥深くにある里の中で暮らしていたので、魚介料理を食べるのは初めてだ。


 昨日のうちにリューインで堪能するのもありだったのだが、この船のレストランの魚介料理が絶品だという前情報を聞いていたので、楽しみにとっておいたのだ。


「マリナ、これも美味いぞ」


 そう言って、サヤが皿に取り分けたロブスターのグリルをマリナに差し出す。

 レモンとバターソースで味付けされたプリプリ食感のロブスターに、マリナの表情がさらに綻ぶ。

 どうやら夫婦揃って、ロブスターの虜になってしまったようだ。


「な、なんだかサヤ様……」


【いつも以上にマリナに優しい気がするのじゃ……】


 向かいの席で、サヤとマリナのやり取りを羨ましそうに見つめるアリサとシグレ。


 実際、今回の旅行はサヤたち二人にとって特別なものであるし、その上、サヤは前回の旅で様々なことを経験し、気遣いスキルも大幅にアップしている。

 様々な要因が積み重なって、マリナ甘やかしモード全開のサヤが出来上がったというわけである。


『おい、それは俺の魚だ!』


『黙れ、新入りのくせに生意気だ!』


 テーブルの隅の方で、魚料理を取り合うグランペイルとダーク。

 言い争いながらも、同じ皿の料理を一緒に食べているあたり、意外と仲がよかったりするのかもしれない。


「にゅふふ……みんな、せっかくの休みだし、よかったら昼からお酒を飲まないにゃ?」


 メニュー表を見ながら、そんな提案をするヴァルカン。


「あら、素敵ですね、ヴァルカンさん」


「ふむ……そういえばまだ酒を飲んだことはなかったな」


 ヴァルカンの提案に乗り気なマリナと、酒というものに興味津々な様子のサヤ。


 初めての酒、それに魚料理ということもあり、飲みやすい白葡萄酒を頼むことにする。


【ふむ、上品な香りじゃの】


 香りを楽しみながら、葡萄酒を口に含むシグレ。

 アリサは酒が初めてとのことで、ドキドキした様子で口をつけるが、味が気に入ったようで瞳をパッと見開く。


「ほう、果実水とはまた違った味わいだな」


 一口飲み込み、グラスを見つめるサヤ。

 不思議な味わいだと思いつつも、もう一口飲みたくなってしまう。


 酒が進めば料理も進み、会話も弾む。

 一行は楽しい昼食の時を過ごすのであった。

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