女神は王都を歩く
朝から晩まで活気が収まることを知らないここウイントア皇国の首都スノアを歩く少女達が歩いていた。
見た目は、白金のショートボブのどこにでもいるような普通の町娘のようだが、正体は信仰の対象とされる立派な女神だ。服装は、そこら辺の魔法使いの冒険者でも着そうな白の短いローブを着ているが私の名前はキリル。戦いの女神だ。しかし、地上を平定して以来平和なので、暇つぶしによく友達と人間の世界に遊びに来ていた。争いや血に飢えている訳でもないのだが、何せ今日は暇なのだ。あくまでも、「今日は」だ。
「今日もあの酒屋で、飲んでボードゲームするぞー‼」
「今日も」と言っている事はスルーして、私の横を歩く金髪のポニーテールの彼女は遊びの女神シエラ。こちらもまた、浮かないように服装は、一般人とほとんど変わらないように服装には気を付けていた。よく、遊びや飲み会を企画し、誘ってくれる仲の良い友人だ。そして、時たまボッチになるのだとか...
「また、悪いサイコロの目を連発するのではないですか?シーラ」
私は可哀想な人を見る目でシエラを見つめ、軽く微笑む。それもそのはず、私が覚えている限り、シエラは遊びの女神なのにも関わらず、運がない。ちなみに、名前を変えて呼んでいるのは、女神だとバレたら騒ぎになってしまうからだ。ちなみに、私は地上では、キロと呼ばれている。
「いや、前回はたまたま私の運がなくてそうなっただけだから、大丈夫!そう言ってキロの方が今回悲惨なことになるかもよ?」
そう言いながら、シエラは友人がゲームで悲惨なことになった情景を思い浮かべ、ニヤニヤ笑っていた。そもそも、友人が不幸になっている情景を思い浮かべて笑っている友人はどうかと思うか、ここは心の広い私だ。友人に免じてスルーする。
「それよりも、少し急いだ方がいいかもだよ?」
「そうだね、1人は大丈夫だけど、もう片方は、待たせて怒らせたら、何を考えてどんな仕返しされるのか分からないから怖いからね」
そう、もう片方は、天界でも武力行使以外では、1番怖い人だと囁かれている。ちなみに、武力行使有りだと私らしい...なんでも、そんな綺麗な容姿をしているのにも実際は戦いの女神なんだからだとか...
「そんなに怖い人じゃないから、大丈夫だよ。どちらかと言うと、時間を守ることの方が人としても大切だと思うけど?」
そう、実際はとてもいい人なのだ。だけど近づ来がたいそんなオーラがあるだけなのだ。私だっていい人なのだ。きっと...
「どちらにしても、善は急げ〜てことだねっ」
「大丈夫かな...」
生まれてから、この方何百年。シエラの知性が変わっていない事に不安を少し感じたが、今から教え始めれば少しは良くなるのだろうか?だけど、私は、今更だと思いすぐさま考えるのをやめた。そして、本屋が目に入り、そういえば、欲しい本がある事を思い出した。
「ちょっと、本屋に寄っていい?」
待ち合わせ時間ギリギリだが、ここで寄り道する私は、悪い子かもしれない。
「うん!いいよー」
「ありがとう」
シエラが、単純でよかった。もし時間に遅れたらシエラのせいにしよう。そんなことを考えながら、ニッコリする私は、やはり悪い子だとこの時は思った。だけど、これぐらい許されると確信している。まぁ、そもそも気が付くのか怪しいところだが...
そして、2人は人混みをかき分けながら本屋に駆け寄って行った。そこで、私は元から目当てていた本をぱっぱと数冊取ってお金を払っい、店を後にしようとしたが、遊びの本を夢中に読んでいるシエラの姿が私の目に入った。そこで、私は確信した。
待ち合わせ時間に遅れたのは、私のせいでは無い。