あっしゃビットコインよりFX派かな!②
「何しに?」
「ちょっと知り合いに会いに‥‥‥」
「フィリピンに知り合いいたんだ? 誰?」
「誰って‥‥‥中学時代の友達。帰ってきたら詳しく話すよ」と言って、フィリピンに旅立った。
それから三日経っている。
友達と聞いて真っ先に思い浮かんだのは、泰斗ではなく奄美の祖父のお葬式で見かけた女性の顔だ。
二人が話している所は見なかったが、距離感が男女の関係があった距離だとまさみは感じていた。
「良いなーフィリピン」景子の声が、まさみを現実に引き戻す。
「新婚旅行は何処行くの?」
「そんなのまだ決まってないよ」
「仕事はどうするの?」
「続けるよ」
「プロ棋士の奥さんって良さそう」
「どうだろうね。景子、彼氏は?」
「聞いてくれる今、アメリカ人と付き合ってるんだ」と教えてくれる景子。
「アメリカ人ってガリクソンじゃないよね?」
首を傾げながら「ガリクソンって誰?」
首を振りながら「何でもない」と答えるまさみ。
そうなのだ。今、奄美の家にガリクソンが居候しているのだ。
あの女性とお葬式に来てた外人だ。
「俺がフィリピンに行ってる間、ガリクソンにこの家に住んでもらうから」とガリクソンを紹介されたた。
「ドウモ、ハジメマシテ、ガリクソンデス。
ドウゾヨロシク!」と、いかにも外人という陽気さでまさみに話しかけ、握手を求めてくる。
呆気に取られているまさみをよそにガリクソンは「イヤー、アマミクンカラ、イソウロウシテイイトイワレタトキハ、ビックリシマシタ! ソシテトテモウレシカッタデス」などと知っている話を、これでもかとされて、この話しはCMの後も続くんじゃないかと思うほどだった。
奄美は、ガリクソンに今日から泊まって行けばいいと言っていたが、さすがにガリクソンは止めておくよと言って帰って行った。
何処に帰って行ったのかは、まさみには分からないけど。
例えば、夜の公園に外人がいれば少し怖い。外人じゃなくても怖いか‥‥‥まぁネットカフェとかビジネスホテルに泊まるのだろう。
「大丈夫なの?」と二人きりになった奄美の部屋で、まさみが奄美に問い詰める。
「大丈夫、大丈夫! 何かあれば泰斗に言えば」とあっさりと言う奄美。
まさみは、全然大丈夫じゃないと思っているのだけれども‥‥‥、何かあれば泰斗さんに任せるという意味だと思うのだけれど‥‥‥。
任せられた泰斗さんは困るでしょ?
何が起こるものだと思っているふしもある。
奄美はそういうトラブルを面白がる傾向がある。
奄美がフィリピンに行って三日、まだトラブルは起きてない。




