あっしゃビットコインよりFX派かな!①
本社の食堂で一人、昼食をとっているまさみ。
今日は月に一度の本社での研修の日で、本社に来ている。
化粧品会社に勤務しているのは、圧倒的に女性が多い。なので、食堂にも女性が圧倒的に多い。
「あっまさみだ! 一人?」と同期の景子、が、まさみを見つけ声をかけてきた。
「隣いい?」
「もちろん」
景子は同期で大学が、一緒だった。大学時代はお互い会ったことはなかったのだが、出身もまさみが秋田で、景子が青森という事で、入社してすぐに仲良くなった。
今でこそたまにしか会えなくなったが、よく連絡は取り合っている。
「結婚、おめでとう!」と景子が、まさみの脇腹を突く。
「ありがとう」と答えるまさみ。
「元気なくない? マリッジブルー?」
「そんなんじゃないんだけどね‥‥‥」
「毎日ラブラブじゃないの? だから唐揚げ一個頂戴!」と、まさみが食べている唐揚げ定食から唐揚げを取ろうとする。
それを手ではたき落としながら
「ダメ! 唐揚げ好きだから! 後ラブラブじゃないよ!」
手を揉みながら景子が「何? 何かあったの?」と聞いてくる。
「そういうんじゃなくて、今いないだけ」
「いないって試合?」と将棋の駒を指す動きをする景子。
「うんうん、フィリピンに行ってる」首を横に振りながら答えるまさみ。
「フィリピン?」
そうなのだ今、奄美はフィリピンに行っている。
理由を聞いてもはぐらかされた。
去年のこの時期は、タイトル戦のために家に引きこもって将棋の研究をしていた。
いつもフラフラ棋士仲間と呑んだくれてることが多かったが、奄美が引きこもっていたのでハッキリ覚えているまさみであった。
今回はタイトル戦だけではなく、ソフトとの対局もあるのに。
フィリピンに行くと告げられたついでに、プロポーズをされた。
決してついでではないのは、奄美と長い付き合いのまさみには分かったが‥‥‥。
ついでの様なプロポーズだなと思ったが、結婚しようかと、ありふれた言葉で言われたプロポーズ。
特にサプライズがある訳ではなく、ごくごく普通のプロポーズ。
でもされてみると嬉しいものだった。
「でフィリピンに行くの?」
「うん。てか俺一人で」




