ありふれた言葉がいい15
「今度サマール島行こうか?」
「おっ噂のサマール島だね」
「そう、たまには休息も必要よ」と恵が満面の笑みで言う。きっとこういう過酷な経験もたくさんしてきたのだろう。
「じゃあお言葉に甘えて休息しようか!」
「そうそうそれが一番!」
それから二日後の週末にサマール島を訪れた。ガリクソンが言ってた通りの絶景の海がそこには広がっていた。
その日は特に天気が良かった。といってもフィリピンに来てから快晴続きではあるのだけれど。
「良い天気だよなーフィリピンは」と両手を伸ばしながら奄美が言う。完全にリラックスしている。
「だよねーフィリピンと日本の一番違う所かな」と恵が、いつもよりラフな格好で足を延ばしながら答える。
「ニホンハ、テンキヨクナイノ?」と一緒に来ているモニカが質問する。
モニカとニコルとその他にも教会の施設にいる子供たちもいる。
エミリオたちが今、目の前の浜辺で一緒に遊んでいる。
「寒い季節がるんだよ。冬って言うんだけど。冬にこんな格好をしてると死んでしまうよ」とTシャツをパタパタしながら奄美が答える。
「ソウナノカーニホンイッテミタイナ」
「おいでよ。招待するよ」
「ホント? ヤッター!」とウィンクするモニカ。
「オネエチャン、キレイニナカイガラトレルヨ」とニコルがモニカを遊びに誘う。
モニカたちの遊ぶ姿を遠目に見ながら「人の親になった気分だな」と奄美がしみじみという。
「子供たちと触れ合ってるとそう思うよね」
海と浜辺で遊んでいる姿を見ながら「恵はずっとこっちにいるの?」
「‥‥‥どうなんだろう? そんな先まで考えてないかな」
「結婚とかは?」奄美の口から出るフレーズだとは思わなかったのでビックリした。
「け、結婚‥‥‥いやいや全然予定ないっすよ」
「すればいいのに」
「そういう奄美は?」
「ん?」
「いや結婚」
「しようと思ってて」
「‥‥‥ん?」
「いやその結婚を」
「奄美が‥‥‥結婚」
目が固まってる恵。
「そんなに驚かなくても」
「奄美が‥‥‥結婚」
「二回も言う。そんなに変か?」
「いやそうじゃないけど」




