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音のない世界  作者: 横須賀かもめ
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ありふれた言葉がいい⑧

 朝から恵と奄美は親と離れ離れにならざるえない子供たちが住む孤児院に向かっている。

 三才から五才ぐらいの子供たちの教育支援を恵たちが担当している。

 夕方からは、モニカたちが集まる教会にも行くことになっている。

 孤児院につくと子供たちが恵に駆け寄ってきた。




 「メグミ、キョウハナニシテアソブ?」「メグミ、ハヤクアソボウ」などと声をかけながら、恵の周りに集まりながら建物に中に入っていく。

 恵から紹介されたのが、孤児院で子供の世話をしているエミリオ。

 他数名でこの孤児院を運営しているそうだ。




 エミリオが「メグミ、今日もヨロシクね」と流暢な日本語で恵に話しかける。

 「もちろん! 今日は言ってた知り合い連れてきたから」と奄美をエミリオに紹介する。

 奄美が挨拶しようとすると、エミリオが先に「初めまして、将棋楽しみにしてます」と言い、深い礼をされる。




 慌てて挨拶をする、しどろもどろになりながらも。

 すると恵が小声で「エミリオは、日本が大好きなのよ」と教えてくれる。

 部屋に入ると、子供たちが奄美をジロジロ見ている。

 「今日は、日本から私の友達を連れてきました!」と恵がみんなに伝える。

 すると、「ナマエハナンテイウノ?」「メグミノカレシ?」と騒ぐ子供たち。

 手を叩きながら「はいはい、皆静かに!




 この人は私の友達で、何とプロの棋士なのです! ちなみに彼氏じゃなくて友達ね!」

子供たちが「キシって何?」「ホントウハ、カレシデショ」などなど騒ぎだす。

 「将棋って言うのはね、日本の伝統の‥‥‥えっと‥‥‥ボードゲームかな」と奄美に問いかける恵、静かに頷く奄美。

 「ゲームスキ」などと興味が湧いてくる雰囲気が奄美に伝わってくる。

 手作りの将棋盤や駒をテーブルの上に出して説明を始める恵。

 ルールや駒の動かし方をみんなに教える。

 でも、子供たちは説明よりも、早く将棋をしてみたいようだ。




 「よし! 将棋指そうか」と提案する奄美。

 日本語で言ったにも関わらず大喜びの子供たち。雰囲気が伝わったのだろう。

 「よし、一回やってみよう」と子供たちに言う。日本語を理解できないので恵に「訳して」とお願いする。




 「将棋したい子集まれー」と恵が訳すと子供たちのテンションがはっきり上がった。

 「将棋のルール分からなかったら、はさみ将棋っていうのもあるからね」と言うと、子供たちは将棋のルールが難しかったみたいで、

結局はさみ将棋をすることになった。




 子供たちは楽しく、時にエキサイティングしておおいに盛り上がった。

 恵やエミリオたちスタッフの手伝いがあって盛り上がった事はいうまでもない。

エミリオが子供たちの様子を見ながら「こんなに喜んでいる姿を見るのは、私たちの何よりの宝です」と言った言葉が奄美には印象的だった。


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