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音のない世界  作者: 横須賀かもめ
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ありふれた言葉がいい⑤

 服装もいつもは、ジーンズにTシャツが主なコーデだが今回はクローゼットから、白のワンピースと帽子とサングラスを取り出し、家を出る恵。




 空港までは、知り合いの車を借りることにした。

 ゲートを出る時に、ガードマンにパスを提示し敷地内の外に出る。

 空港までは車なら三十分もかからない距離である。

 支度に時間が掛かったため、急いでいる時にふと思う。




 「緊張するところじゃないぐらい忙しい時間を過ごしてしまった‥‥‥」

 空港に着き、ゲートに向かっていく。




 聞いていた到着時間よりも早く着いたのにも関わらず、奄美はすでにそこで待っている。

 昔からそうだそういえば‥‥‥私を待たせないために着く時間を遅く伝えてくる。

 そんな事を思い出しながら、奄美に声をかける恵。




 「ようこそフィリピンに」

 振り返る奄美は、不安な顔でどうしたらいいのか分からない顔で恵を見返す。

 久しぶりという言葉の前に「どうしたの?」と聞かざる得ない恵。

 一息ついて奄美が「これが初めての海外で、タバコ吸う所すら探せない自分に落胆している以外の顔に見えるか」

 「初めての海外で、約束の時間を早く言わなければ良かったという顔に見えた」

 「そ、それは仕方ない」

 「それでは、行きましょうか」

 「了解」

 二人で空港を後にし、恵の車に乗った。




 車に乗ってしばらくすると

 「車乗ってるんだな」と意外そうに言う。

 「奄美は乗ってないの?」

 「持ってないー免許はあるんだけどね」

 思い掛けず、奄美と呼び捨てで呼んでしまった。奄美は気づいてないみたいだ。




 「東京じゃ電車の方が便利だもんね。てかこれ知り合いの車だから」

 「仕事先の?」

 「うんうん。同じ日本人で同じエリアに住んでる人」

 「そんな繋がりもあるんだねー海外では」

 「そう! こっちでは一人では生きていけないと実感できるの! 人は人と繋がってるという当たり前の事実が真実として実感できるの!」

 「繋がってるという実感か‥‥‥」窓の外を見ながらつぶやく奄美。




 「そういえば、タイトル戦おめでとう」

 「タイトル獲った訳じゃないから」

 「それでも凄いじゃん。しかも二年連続」

 「いやいや、たまたまだよ」

 「謙遜を! タイトル出場おめでとう旅行かな?」

 そんな訳もないのに、はぐらかさせて聞いてみる。


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