ありふれた言葉がいい②
机には、紙で作った将棋の盤や駒がある。
「オモシロイゲーム?」とモニカが聞いてくる。
「そう! 日本の伝統的なゲームだよ」と教える恵。
駒を見ながら色々考えているモニカが「チェスミタイ」という。
「そう! 将棋もチェスもルーツは、インドの盤上遊戯“チャトランガ”だって言われてるの!」
「ソウナンダ、チェスハ、フィリピンデモスルヒトイルヨ」
フィリピンでも、ボードゲームはたくさんあり、一番有名なのは“マンガラ”と言われるものだが、チェスや将棋と性質が違うゲームであるのは、恵は調べて知っている。
フィリピンでは、チェスが浸透していることも同じく知っている。
「モニカもチェスするの?」
「シタコトアルヨ! カテナカッタケド」と笑いながら答えるモニカ。
「将棋やってみる」と聞くと、頷くモニカ。
モニカとニコルにゆっくりと、駒の説明をする恵。
鞄からノートを出し、書き始めるモニカ。
初めて会った時から、モニカは勉強が好きでよくしている。
「ハイスクールヲソツギョウシタラ、カンゴシニナルノ」と夢を語ってくれた。
そのために勉強をしているのだ。
恵からプレゼントされたノートと鉛筆を使って勉強をしている。
そのノートももう五冊目になる。
「将棋がチェスと最も違うのは、獲った駒を自分の駒として使える所なの」
「オオッソレハイイ」
恵に教えられたとおりに、駒をまずは並べるモニカとニコル。
「マズハ、フヲウゴカス‥‥‥」
考えながら真ん中の歩をつくモニカ。
それを見て「オッ、それは中飛車という戦法よ」
「ナカビシャ」名前が気に入ったのか、中飛車のやり方を聞いてくるニコル。
ニコルに中飛車の説明をする恵。
夕陽が沈みそうになるほどの時間帯まで、三人で将棋をしていた。
恵が「そろそろ帰ろうか」と言うと。
モニカが外を見て「アッ、ママニユウショクノショクザイ、カッテコイトイワレテタ」と慌てて出て行こうとするモニカとニコル。
「待って、私も一緒に行くよ」
「ウン」
三人で教会を出て、モニカがよく行く街のスーパーに一緒に向かう。
モニカが教えてくれたから、恵自身もよく使うようになったスーパーだ。
日本のスーパー程とはいかないが、必要な食材はある程度揃う、便利なスーパーで恵も重宝している。
歩きながらモニカが「ドウシテ、ショウギヲミンナニ、オシエヨウトオモッタノ?」と聞く。
「もうすぐね将棋のプロが、フィリピンに遊びに来るんだって」とつぶやく恵。
「ソウナノ! ジャア、ショウギオシエテモラオウ!」と喜ぶモニカとニコル。




