小説の名は「誰がタメ」 その12
「話ししてみれば良いんじゃないかな、奄美も話ししたいと思うぞ。もちろん恵ちゃんも」
高村の顔を覗くと、笑顔が印象的だった。
以前、奄美が言っていた。
師匠の顔を見るだけで背中を優しく押してもらえるような気がすると。
だから悩んだ時は、真っ先に師匠に相談するのだと。
高村の将棋は攻め重視で優しくもなんともないんだけどねとも言っていた。
喫煙所の扉がバタンと大きな音がして開く。
何事かと扉の方を見ると迫田が息を切らしながらこっちを見て「もうすぐ終わるかもです」
「えっもう!」と泰斗と高村の声が揃う。
急いで控室に戻る三人、控室に入ると森田と雨竜がモニターを凝視している。
男の子が戦隊物のテレビを見るようにモニターを凝視していた。
壁にかかっている時計は三時を指している。
盤面を見ても何が何だか分からない泰斗は、
モニターを見る。
すると武知の動きに目がとまった。
動きが大きくなって目立つ、コンビニやスーパーのレジの行列に待ち時間にイライラするように、ため息や手の指の関節を鳴らしたりしている。
逆に奄美は、盤面に集中して動きが全くない。
時おりゆっくりとペットボトルを持ち、ゆっくり蓋を開け飲んでいる。
それも盤面に集中しながらの作業の一つにすぎない。
先を読むために必要な行為であるがの如くペットボトルの蓋を開け、水分を口に入れる。
泰斗が、モニターを凝視していると「これは中々、後手が厳しいかな」と高村の声がする。
声の方に顔を向けると、森田と高村が盤面を挟んで検討している。




